配分額 *注記 |
12,500千円 (直接経費: 12,500千円)
2000年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1999年度: 2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
1998年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
1997年度: 6,900千円 (直接経費: 6,900千円)
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研究概要 |
本研究にて得られた結果の概要は以下のとおりである。 (1)高炭素フェロクロムスラグはSiO_2-MgO-Al_2O_3系の材料であり,スピネルおよびフォルステライトの結晶相とコーディエライト類似のガラス相を有する。このガラス相は潜在的にアルカリ反応性を有するが,アルカリシリカ反応による有害な膨張を生じさせることはない。 (2)高炭素フェロクロムスラグの反応性により,スラグ粒子とセメントペーストマトリックス間には化学的な結合を生じる。また,高炭素フェロクロムスラグ粒子は凹凸の大きな粒子表面を持ち,これによる機械的な噛み合い効果によって付着強度は増大する。 (3)高炭素フェロクロムスラグを骨材として使用した高強度モルタルおよび普通モルタルの強度および破壊靭性は,天然骨材を使用したモルタルのそれらよりも大きい。特に,長期材齢における強度の増大が顕著であり,スラグ自体のポゾラン反応の寄与を示唆する。 (4)高炭素フェロクロムスラグを使用したモルタルにおいては,ひびわれは骨材-マトリックス間の実界面から離れたセメントマトリックス中を進行する場合が認められ,スラグのポゾラン反応性および機械的な噛み合い効果による付着強度の増大が,モルタル全体の強度増大をもたらす。 (5)高炭素フェロクロムスラグを骨材として使用した高強度モルタルに対して,水中養生を継続して行うと曲げ強度や破壊靭性が低下する場合があり,この場合,セメントペーストマトリックス中には微小硬度の低下にも現れるような微細なひびわれが観察された。 (6)著しく低い水/結合材比のコンクリートであるRPCにおいても,比較的粗大な毛細管空隙は存在し,この毛細管空隙量の増大とともに,圧縮強度は低下する。 (7)熱処理をともなうRPCにおいて,CSH系の反応生成物の種類は異なるが,粗大な空隙量を低減させない限りにおいては,高強度の発現には反応生成物の種類は副次的な効果しかもたない。 (8)高炭素フェロクロムスラグを骨材として使用しても,RPCの微視的構造や力学的性能に差は認められず,高炭素フェロクロムスラグはRPC用骨材として十分使用可能である。 (9)高炭素フェロクロムスラグ中のガラス質からのシリカの供給は,RPCの反応生成物の生成量,特に高温における生成に影響を及ぼす。したがって,最適配合の観点からは,高炭素フェロクロムスラグを使用したRPCの配合は天然珪砂を使用したRPCとは異なる可能性がある。
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