研究概要 |
この研究においては,コンクリートの引張軟化曲線を求めるための試験方法を確立し,海外の研究者らと協議するとともに,引張軟化曲線を用いて,鋼繊維補強コンクリートや再生骨材を用いたコンクリートの曲げ破壊性能の評価,ならびにコンクリートの付着性能の評価などを行うことを目的としている. コンクリートはり供試体の曲げ試験で計測される荷重-変位曲線から,逆解析により引張軟化曲線を精度よく推定できる有限要素プログラムを,土木学会コンクリート委員会寸法効果小委員会(委員長:六郷恵哲)の委員会報告書の中で公表した.曲げ試験用供試体の形状寸法や変位計測方法の望ましい条件を示し,荷重-変位曲線をより安定して計測できる載荷試験装置の例も示した. 引張軟化曲線の試験方法の確立と応用をテーマにした国際研究集会(ワークショップ)を,平成10年10月に岐阜で開催した.他の破壊力学パラメータに比べて引張軟化曲線の応用範囲が広いこと,引張軟化曲線のレベルの簡略化を用途に応じて行うべきこと(レベル1〜3),引張軟化曲線の試験方法の標準化のための技術委員会をRILEM(国際試験研究機関連合)ならびにJCI(日本コンクリート工学協会)の中に設置すること等を確認した. 鋼繊維種別,繊維混入量ならびにマトリクス強度の異なる各種の鋼繊維補強コンクリートの曲げ載荷試験を行い,性能評価に引張軟化曲線が有効なことを明らかにした.通常の繊維混入率(2%以下)の場合には,引張軟化曲線の形状は供試体寸法の影響を受けないことも明らかにした.再生骨材コンクリートの曲げ破壊性の差異を,引張軟化曲線の形状の違いにより評価できることを明らかにした. (40字×20行=800字)
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