研究概要 |
長大斜張橋の合理的な形式,部材配置,桁断面を開発,提案することを最終目的とし,以下の3項目に分けて研究を進めた。それぞれに,構造形式・部材配置と構造減衰特性との関連,合成桁斜張橋のクリープ・乾燥収縮挙動,ケーブル形式等の構造形式および桁幅等の桁断面特性と終局耐力との関連を数値解析によって解明している。 1. 構造減衰性の向上に着目した斜張橋形式の合理化に関する研究 モード減衰解析を行い,斜張橋の構造減衰性を向上させる形式,部材配置を解析的に探った。これにより,内部共振を積極的に起こさせるケーブル配置とし,かつケーブルそのものの減衰性を高めることで,斜張橋の減衰性を向上させることができると結論された。 2. 合成桁を適用した場合の斜張橋桁断面の合理化に関する研究 合成桁斜張橋のクリープ・乾燥収縮解析プログラムの開発を進め,それを基に合成箱桁を有する斜張橋および2主桁連続合成橋梁のクリープ・乾燥収縮解析を行い,合成桁橋の力学的特性を明らかにすると共に,合成桁の斜張橋への適用スパンを考察している。また,合理化策の一つとして新形式の合成床版について,その耐荷力特性を実験および解析から検討した。 3. 終局耐力に着目した長大斜張橋の形式と鋼桁断面の合理化に関する研究 1000mを超える長大斜張橋について弾塑性有限変位解析を行い,その終局耐力特性を解明した。特に,自定式,一部他定式等のケーブル形式,中間支点の数と位置,桁の桁幅,桁高や補剛箇所をパラメータに解析を行って,終局耐力から見た斜張橋の形式と桁断面の合理化に関する基礎データを得ている。1000mを超える鋼斜張橋の終局耐力を確保するために必要な最小桁断面や,ケーブルの安全率を下げることで斜張橋構造の合理化が可能かどうかの検討も行っている。
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