研究概要 |
構造物基礎のうち最も簡単で安価な直接基礎形式を,砂・礫質土や岩屑の緩い地盤に適用するために,しばしば締固め工法がとられる。この締固め工法の一つ重錘落下締固め工法がある。この工法は,対象とする地盤全体を一様に締固めることを目標にしているが,打撃点直下では高密度に締まった領域が球根状に成長していくことが見出されている。これを直接基盤に応用する工法を「締固め球根基礎工法」と名付け,遠心模型実験を用いてこの工法を再現し,この工法に関わる要因の影響を調べた。 本研究は,まず,5種類の材料を対象にして土の種類が締固め球根の支持力特性に与える影響を遠心模型実験によって調べた。次に,施行機械開発を念頭に,従来よりも重錘規模と落下高を小さくし,この工法を小型化した場合の支持力特性に与える打撃条件(重錘質量,重錘底面積,落下高,打撃回数)と基礎底面積の影響を遠心模型実験によって調べた。以上から,この工法の実用化方法を検討した。 本研究で得られた結論は,1)パス施行時の埋戻し土量がわざわいするため,20t打撃地盤の方が40t打撃地盤よりも地盤反力係数は大きい,2)今回用いた最大粒径,細粒分含有率を変えた資料の範囲では,この工法に与える土の種類の影響は余りない,3)総打撃エネルギー一定でも総運動量が大きくなるような打撃条件を選んだ方が締固め球根の支持力は大きくなリ,その場合には全般破壊を呈することからもより良好な基礎地盤と考えられた,4)重錘底面積が大きい方が地盤反力係数は大きく,基礎底面積と重錘底面積の比が大きいほど全般破壊を呈する。これらの結果から,締固め球根基礎工法を実用化する場合の設計法,施行機械の必要条件および施行管理手法を提案した。またこの工法は,地盤の液状化対策にもなり,杭基礎のような地盤との複雑な相互作用を考える必要はなく,現地材の締固めのみによるので建設残土が生じることもなく,非常に経済的であることを提示した。
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