配分額 *注記 |
12,700千円 (直接経費: 12,700千円)
1999年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1998年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1997年度: 10,700千円 (直接経費: 10,700千円)
|
研究概要 |
次世代防錆鋼板表面処理法として注目を浴びているZn-Cr合金の電析挙動および電解機構を明らかにすることを主眼にし,以下に示すような研究成果を得た。 (1)添加剤としてのPEGの有無にもかかわらず,高電流密度域ではZn中にCrの共析が認められたが,PEG含有浴からの電析物の場合のみ金属Crとして存在し,PEGを含有しない浴からの電析物では,Crは水酸化物の状態で存在していることがわかった。さらに,ZnとCrの共析に先立つ水素発生により陰極近傍において水素イオンが枯渇した結果、陰極界面pHが溶液本体に比べ上昇していることが確認できた。また,ZnおよびCrの部分分極曲線を測定した結果、PEG含有浴においてはZnの部分分極曲線が大きく卑な領域に移行していることが確認でき,PEGの役割はCr^<3+>が放電できるような陰極電位を達成させる分極剤として作用しているものと推定された。 (2)PEG濃度および平均分子量の増加につれ,電析物中のCr含有量は増加し,このときZnの析出電位も大きく卑に移行し,Cr^<3+>の放電が可能な陰極電位が達成されていることが確認できた。また,電析物の表面外観もダークグレーの無光沢から金属Crの共析に起因した金属光沢のある電析皮膜へと変化することがわかった。そして,このようなPEGの分極作用を,高分子の陰極表面への吸着現象との関連において考察した。 (3)電解時には,副反応として同時に水素発生が進行しており,陰極近傍で水素イオンの枯渇によりpHが上昇し,pH4付近で陰極表面にZnとCrがモル比2:1の割合で構成される複合水酸化物を生成することがわかった。したがって,Zn-Cr合金の電析は,この複合水酸化物を中間生成物として進行することを示し,PEGを含有する硫酸酸性浴からのZn-Cr合金電析過程の全貌を明らかにした。
|