研究概要 |
循環している作動液の一部を用いて,吸収器あるいは凝縮器の性能に多大の影響を与える水蒸気以外の不凝縮ガスを運転中自動的に抽気する装置の開発を目的として,以下の点について研究を行った。 1.実験が容易な空気-水系を用いて,ノズルの形状,ノズルから衝突液面までの高さあるいは水ジェットの速度のほか,特にノズルの個数など,種々の流動条件下における空気同伴量を測定する。 2.空気-水系で得られた実験結果から,実際の機器で用いられている水蒸気-臭化リチウム系での目安となる気体の巻き込み量が最大となる条件を見出すなど,実際の装置設計の指針となるデータを提示する。 本研究によって得られた結果は,以下の示す通りである。 1.液ジェットの速度は速いほど,ジェットの液面への突入エネルギが大きいため,気体エントレインメント流量は増大する。 2.多孔ノズルの穴ピッチが7mm以下である場合,各穴から噴出した水ジェットは合流し,一本のジェットとなって水面に突入するため,気体のエントレインメント特性は基本的に単一孔ノズルの場合とほぼ同じ傾向を示す。 3.ノズル穴のピッチを10mm以上にした場合,各水ジェットは合流しないで,独立して水面に突入するため,気体のエントレインメントは単一孔および水ジェットが合流するピッチの小さいノズルより多くなる。しかし,ピッチを大きくしすぎると,ジェットの一部が供試管内壁に接触しやすくなり,注意を要する。 4.多孔ノズルから噴出する各ジェットが合流することなく,独立して水面に突入する場合,ノズル穴の個数が変わっても,1本の水ジェットが気体のエントレインメント流量に貢献する量は同じである。
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