研究概要 |
Xanthomonas compestris pv.translucensIFO13599により,低いβ-ガラクトシダーゼにもかかわらず,ラクトース100mgから18.5mgのキサンタンガムが生産された。この値はグルコースを基質とした場合の1/15の生産性であった。また,この菌体はキサンタンガムと共に氷核物質の生産も行い,その時の氷核形成温度は(T_<50>)は2.8℃であった。次に,不溶物を除去したホエーを原料として,氷核剤とキサンタンガムの生産を試みた結果,最適条件下で168時間の培養することにより,最大値に達することがわかった。得られたキサンタンガムは市販の物と比較して粘性率が低く,加水分解してTLCとHPLC分析した結果,ピルビン酸が含まれていないことがわかった。 また,氷核活性細菌,Pseudomonas fluorescens KUIN-1が生産する菌体外氷核活性物質(EIM)を精製した。このEIMの形は直径10-100nmの球状であった。このEIMの氷核活性ならびに氷核安定性は菌体内のものと同様であり,Erwinia uredovora KUIN-3のEIMのような異なる構成成分を有するクラスA(-5.0℃),クラスB(-6.7℃)とクラスC(-7.5℃)が存在することが明らかとなった。EIMの組成はタンパク質が56%,脂質が15%,糖が10%と,ポリアミンが19%であった。ウエスタンブロッティングによるSDS-PAGE分析により,氷核タンパク質(INP)の分子質量は110,000Daであった。脂質の脂肪酸組成は細胞内外膜のものと同様であり,糖はグルコース,ガラクトサミン,ラムノースなどで構成されていた。さらに,EIMの組成として,カダベリン,スペルミジンとプトレッシンが存在した。このEIMはワインや酢の凍結濃縮に非常に有用であった。
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