研究分担者 |
西埜 誠 島津製作所, 分析機器事業部, 主任
朝木 善次郎 京都大学, 大学院・工学研究科, 教授 (90026005)
合志 陽一 国立環境研, 副所長 (90111468)
早川 慎二郎 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (80222222)
林 好一 京都大学, 大学院・工学研究科, 助手 (20283632)
足立 裕彦 京都大学, 大学院・工学研究科, 教授 (60029105)
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研究概要 |
結晶中で発生した蛍光X線は近傍の原子によって散乱される.その散乱蛍光X線は干渉効果を示し,強度に角度異方性が現れる.その干渉パターンをフーリエ変換する事によって結晶原子像の再生が可能である.これが蛍光X線ホログラフィー法である.ホログラフィー法はGaborが1948年に電子顕微鏡の分解能を向上させる目的で提案した.Gaborの方法では,物体をコヒーレントな電子波や光波で照射したときに生ずる散乱波(物体波)と,物体を素通りした波(参照波)との間の干渉により作られる回折像をホログラムとして記録後,参照波を用いて像再生するというものである. X線の散乱振幅は電子に比べて小さいので,蛍光X線ホログラフィーの実験は難しい.しかしX線では位相シフトの問題が無いので解析は容易である.光電子ホログラフィーは表面の,蛍光X線ホログラフィーはバルクの構造解析に有用と考えられている. 我々は,高エネルギー加速器研究機構物質構造化学研究所放射光実験施設において,チタン酸ストロンチウムの単結晶のSrの蛍光X線ホログラムの測定に成功した(1997年12月).その後1998年3月には200ppmのZnを不純物として含むGaAsウエハー中のZnの蛍光X線ホログラム測定に成功し,Znの原子位置を決定できた.この実験は1998年4月にも追実験を行ない,より精密なホログラムの測定と再現性の確認ができた.実験室においては,蛍光X線ホログラム測定を,X線回折用X線管で測定しているが,他の研究者によると1つのホログラム測定には3ケ月を要するとの事で,現在まだ実験室での測定は成功していない. 我々の測定した200ppmZnの蛍光X線ホログラムは,現時点で,低濃度の世界記録である.
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