研究課題/領域番号 |
09555272
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 展開研究 |
研究分野 |
工業物理化学
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
安保 正一 大阪府立大学, 工学部, 教授 (70094498)
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研究分担者 |
江原 襄 (株)イオン工学研究所, 研究部, 室長
松岡 雅也 大阪府立大学, 工学部, 助手 (80305648)
山下 弘巳 大阪府立大学, 工学部, 助教授 (40200688)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
10,700千円 (直接経費: 10,700千円)
1998年度: 5,000千円 (直接経費: 5,000千円)
1997年度: 5,700千円 (直接経費: 5,700千円)
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キーワード | イオン注入法 / マグネトロンスパッター法 / 可視光応答型の酸化チタン光触媒 / 半導体酸化チタン光触媒 / NOの光触媒分解反応 / 透明酸化チタン薄膜光触媒 / クラスターイオンビーム法 / 第2世代酸化チタン光触媒 / イオン注入 / 光触媒 / 酸化チタン / 可視光応答型光触媒 / NO_X分解 |
研究概要 |
本研究では、紫外光照射下においてのみ稼働する半導体酸化チタン光触媒を可視光や太陽光で効率よく作用する光触媒に改質することを目的として、イオン注入技術を用いてCrやVなどの遷移金属イオンを酸化チタン内部に注入することを試み、可視光領域に吸収を示し可視光照射下で光触媒として機能する酸化チタン光触媒の創製に成功した。さらに、実用化に適した形態の酸化チタン光触媒を創製する観点からクラスターイオンビーム法などのイオン工学的手法を用いてガラス基板上に結晶性の高い酸化チタン薄膜を創製することに成功し、また、これらの薄膜酸化チタンにイオン注入法を適用することで、可視光で稼働する透明酸化チタン薄膜光触媒の調製に成功した。各種の分光測定手法を用いて可視光応答型の酸化チタン光触媒の結晶構造および表面電子状態を評価した結果、イオン注入により酸化チタンの表面結晶構造は変化せず、電子状態の特性を反映するバンドギャップエネルギーが極微少量の特定金属イオンの注入により摂動を受け、吸収帯が紫外から可視光領域にシフトすることを明らかにした。これら可視光応答型の第2世代酸化チタン光触媒を用いて屋外にて太陽光照射下でのNOの光触媒分解反応に対する活性評価試験を行った。その結果、太陽光照射下常温でNOの分解反応が進行し、イオン注入酸化チタンはイオン注入していない元の酸化チタンの3〜5倍の高い光触媒活性を示すことがわかった。さらに、マグネトロンスパッター法における薄膜酸化チタン光触媒調製においてアシストガスの組成を変化させることで、遷移金属イオンの注入なしに可視光を吸収し可視光で光触媒活性を発現する酸化チタン薄膜光触媒の創製が可能であることを見いだした。これらの発見は現在特許化を進めているが、極めて大きな成果であるといえる。また、これら第2世代の酸化チタン光触媒を塗布した道路防音壁を作成して、道路沿道に設置し、太陽光照射下でのNOx除去性能の評価を計画している。これらの成果は、21世紀に向けその大規模な応用・製品化が期待されている可視光応答型の酸化チタン光触媒反応システムの開発を世界に先駆けて行ったもので、きわめて大きな波及効果が期待できるものである。
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