配分額 *注記 |
13,400千円 (直接経費: 13,400千円)
1999年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1998年度: 2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
1997年度: 9,000千円 (直接経費: 9,000千円)
|
研究概要 |
タキソールC環の炭素骨格を構築するための新規な有機合成法の開発を検討した。その結果,申請者が見出した、連続的マイケル-クライゼン反応を用いたシクロヘキサン-1,3-ジオンの新規合成法が、タキソールA、C環部の驚異的短段階合成法として使用出きることを明確に示す事実を得た。以下にその典型的な一例を挙げる。すなわち,3-methyl-5-hexen-2-oneとα,β-disubstituted acrylic acid esterをTHF中KO-Bu^t存在下室温で反応させると,4-allyl-4-methyl-5,6-disubstituted-cyclohexane-1,3-dioneが得られることを見い出した。本生成物に備わっている全ての官能基は,タキソールC環に要求される官能基に,その潜在官能基としての意味を含めて,完全に一致しており,本反応が前例のない官能基化炭素6員環合成法であることは明白である。反応機構は,マイケル-クライゼン反応によるものと解釈される。この反応系は、伝統的な良く知られた反応の組み合わせであるにも関わらず,これまでに報告例はほとんど知られていない。極めて簡便な実験操作で,50-60%の収率で環化生成物が入手可能である。THF中KO-Bu^tを塩基として用いる反応系は教科書的な常識では予想できない,極めて実用的な炭素・炭素結合生成反応を提供することが、この詳細かつ系統的な検討によって益々明らかになり,学術的にも非常に興味深い。
|