配分額 *注記 |
12,400千円 (直接経費: 12,400千円)
1999年度: 2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
1998年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
1997年度: 7,700千円 (直接経費: 7,700千円)
|
研究概要 |
本研究は,バイオリーチングの効率化を目指す手法として,反応槽に供給する気相中のガス成分の濃度比を制御することを検討したものである。Thiobacillus ferrooxidansを用いた第一鉄イオンの連続式酸化実験において,供給する気相中のガス成分の濃度比を制御し,第一鉄イオン酸化速度と細菌の増殖速度に及ぼす影響を検討した。その結果,二酸化炭素濃度を約7%,酸素濃度を5〜10%としたときに,最も第一鉄イオン酸化速度と細菌の増殖速度の向上が見られた。 硫化鉱物として黄鉄鉱を用い,Leptospirillum ferrooxidansによるバイオリーチングを行い,リーチングの際に生じる硫酸の生成を抑制しつつ,黄鉄鉱をほぼ完全に溶解させることを示した。また,黄銅鉱,硫砒銅鉱などの難溶性の銅鉱物を含む銅精鉱に関してバイオリーチング実験を行い,浸出率を向上させることを検討した。通常のバイオリーチングでは不純物として含まれる黄鉄鉱のみが溶解され,銅鉱物はほとんど溶解されなかった。この精鉱を予め銀イオン溶液中に懸濁させたのちにバイオリーチングを行ったところ,銅鉱物の溶解が促進され,一方で黄鉄鉱の溶解は抑制された。この銀イオンによる難溶性銅鉱物浸出のメカニズムを検討した結果,硫砒銅鉱の溶解を促進させるためには銀イオンによる鉱物表面での置換反応と,第二鉄イオンによる酸化反応の両者が必要であることが判明した。鉱物の溶解反応により還元された第一鉄イオンを鉄酸化細菌により速やかに第二鉄イオンに再生されることが必要となり,その反応を促進させるためには気相中のガス成分の制御が重要であることが判明した。このような砒素を含む銅精鉱は,従来の乾式製錬法では処理が困難であったが,今回開発したバイオリーチング法により実操業での取り扱いが可能となる。
|