研究概要 |
1.本年度の目的:10年度には,前年度と同じ測定原理に基づく孔壁曲面での測定を想定した柔軟性のあるシリコンゴムをセンサ基板とする平板センサを試作し,加熱細線の直径d,孔径D及び被測定試料の熱物性値の大きさが,その測定値に及ぼす影響を直径が76〜120mmの範囲の多数の模型ボアホールを用いて実験的に検討し,その測定値はD/dの値が大きくなればなるほど,曲面の影響は少なくなり,平面壁での測定値に近づくことを明らかにした。本年度は,上記の成果を基礎に原位置での測定を目的とする孔径116〜120mmのボアホール用の原型1号プローブを試作して,模型ボアホールにより測定精度及び操作性等を調べ、この測定原理で原位置の熱物性値が十分な実用的精度で測定できることを明らかにする。 2.原型1号プローブの製作仕様書:適用径は,原位置実験候補地の試錐孔(孔径116mm)及び模型ボアホールの最大孔径(120mm)を考慮して,D=116〜120mmとし,加熱細線径は製作技術の難易度を考慮し,d=0.100mm(PT1-100型)とd=0.050mm(PT1-50型)の2種類とした。プローブ基板の材料には耐熱性の高いゴムの中から加工性,接着性,毒性及び価格などを考慮しEPDM(耐熱:約150℃)を主剤とする合成ゴムを選択した。そのゴム製の外径116mm×内径62mm×長さ138mmの円筒の中心軸を対称に4分の1に切断した扇状厚板をセンサ基板とする単位長さ約350mmのプローブを試作した。扇状厚板センサ基板は,対向して2個設置されている。単位プローブは,数個連結して使用できる構造になっており,ボアホール壁面への加圧は空気または油圧によりなされる。 3.プローブの特性:PT1-100型(D/d=1160〜1200)では1〈λ_<CS>/λ_<FS>〈1.3,PT1-50型(D/d=2320〜2400)では,1〈λ_<CS>/λ_<FS>〈1.1である。λ_<CS>及びλ_<FS>は,それぞれ孔壁の曲面及び平面における熱伝導率の測定値である。
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