研究課題/領域番号 |
09556037
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 展開研究 |
研究分野 |
林産学
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
黒田 宏之 京都大学, 木質科学研究所, 助手 (00115841)
|
研究分担者 |
黒田 慶子 森林総合研究所, 北海道支所, 室長
高井 一也 井筒屋化学産業株式会社, 開発部, 課長
鈴木 敏雄 井筒屋化学産業株式会社, 開発部, 取締役開発部長
|
研究期間 (年度) |
1997 – 1998
|
研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
|
配分額 *注記 |
14,000千円 (直接経費: 14,000千円)
1998年度: 6,300千円 (直接経費: 6,300千円)
1997年度: 7,700千円 (直接経費: 7,700千円)
|
キーワード | アコースティックエミッション / エンボリズム / マツノザイセンチュウ / 誘導抵抗性 / スチルベノイド / スチルベン合成酵素遺伝子 / アカマツ / 大腸菌による発現 / クローニング / マルチジーンファミリー / カルコン合成酵素遺伝子 / 耐病性 / 選抜アカマツ / 樹幹注入 |
研究概要 |
材線虫病の進行を診断・解析するために、アコースティックエミッションとビデオモニタにより仮道管内の水切れ過程を詳細に検討した。その結果、正常なマツでは水切れが回復するが、ザイセンチュウの侵入したマツでは不可逆的な水切れが起こることが見出された。この不可逆的な水切れ(エンボリズム)が水不足の原因となってマツは枯れると結論された。 実学的な立場から、アカマツの抵抗力を高めることを目標に薬剤試験を行った。芽生えを用いた線虫接種試験では、薬剤をスクリーニングすることにした。その結果、材線虫に対するマツの抵抗力を高める新規誘導抵抗性薬剤を見出すことができた。次に、材線虫病制御に対するスチルベノイドの有効性を3年生苗木を用いて試験した。誘導抵抗性薬剤処理後、材線虫接種をした苗木では、枯れの遅延や枝の付け根で停止する個体が見られた。一方、薬剤処理等によるスチルベノイドの蓄積は、当年枝ではほとんど見られないが、1年枝やその付け根の節部分に観察された。その含有量は正常心材相当の高濃度であり、材線虫の移動を止めることが示唆される。スチルベソイドの材線虫に対する効果は、樹幹ではなく、節で達成できると結論した。また、スチルベノイド生成能力が個体間で異なることも示唆された。スチルベノイドを指標とした材線虫耐性個体の選別が可能と考えられる。 スチルベノイド生成が材線虫病制御に有効であることが示唆されたので、スチルベノイド生合成の鍵ステップであるスチルベン合成酵素遺伝子をクローン化し、これを大腸菌内で発現させて機能することを確認した。したがってクローン化した遺伝子をマツにもどして高発現させることによりマツに材線虫抵抗性が賦与できると期待される。以上の結果を総合すると、机上の空論でない「マツ枯損防止のための新戦略」として、スチルベノイド生成を通じたマツの抵抗力増強と材線虫病制御が可能と結論した。
|