配分額 *注記 |
12,900千円 (直接経費: 12,900千円)
1999年度: 3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
1998年度: 2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
1997年度: 6,800千円 (直接経費: 6,800千円)
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研究概要 |
カベオラは細胞膜に存在する陥凹構造であり,カルシウム濃度制御,シグナル伝達,コレステロール輸送,癌化抑制などに関与すると考えられている.動脈硬化初期に異常が見られる内皮細胞との関連を追求し,臨床的応用の途を探る目的で,カベオラの特性についての基礎的研究を行った. 1)カルシウム流入・排出の分子機構が存在するカベオラと,細胞内カルシウムプールである小胞体の関係を検索した.その結果,カベオラと小胞体は構造的に連関しており,微小管に沿った小胞体の分布変化に応じて,カベオラが細胞膜上を移動し得ることを見出した. 2)カベオラの主要な構成成分であるカベオリン-1のアイソフォーム(α,β)の分子的性質を明らかにする目的で,既知のカベオリン分子を発現せず,カベオラを持たない培養細胞にカベオリン-1のcDNAを導入し,カベオラ形成の有無,頻度,形状などについて検索した.その結果,カベオリン-1のアイソフォームには陥凹形成能の点で差異があることを示し,また深い陥凹と浅い陥凹の分子的組成が異なる可能性が示唆された.カベオラの陥凹度はコーテッドピットとは異なる機序で制御されている可能性があり,カベオラの形態変化や小胞化に関する従来の仮説について再検討する必要があると考えられた. 3)チロシンりん酸化を受けたカベオリン-1を特異的に認識する抗体を作成し,その局在と生化学的特徴を検討した.その結果,カベオリン-1のりん酸化が分子内の複数の箇所で起こり,カベオラもしくはカベオラ由来の小胞の平坦化,集合,融合が起こることが示唆された.
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