配分額 *注記 |
10,400千円 (直接経費: 10,400千円)
1999年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
1998年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1997年度: 5,700千円 (直接経費: 5,700千円)
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研究概要 |
カルシニューリン活性が生育に必須である変異体の単離とその免疫抑制薬スクリーニングヘの応用: カルシニューリン遺伝子をノックアウトした場合,あるいは培地にタクロリムス等の免疫抑制薬を加えた場合でも,分裂酵母細胞は生育可能である。我々は,ニトロソグアニジン処理により変異誘導した細胞の中には,免疫抑制薬存在下で生育不能なものがあることを見出した。これは,合成致死という現象であり,カルシニューリンと生命活動に必須な役割をシェアしている遺伝子に変異が起こったと考えた。そこで,システマティックに変異体を単離することにしたが,予備的な実験において非常に多くの免疫抑制薬感受性変異体が得られたので,スクリーニングが容易であることと,必須遺伝子における変異を同定する目的で,免疫抑制薬感受性と温度感受性を同時に示す変異体を単離することにした。これらをits変異体(immunosuppressant and temperature sensitive mutant)と名づけた。現在までに8種類のits変異体が単離されており,それぞれの変異遺伝子も明らかになりつつある。これらのits変異体は全てカルシニューリン遺伝子破壊と合成致死を示し,生育にカルシニューリン活性を必須とすることが明らかとなっている。スクリーニングは,野生株と数種類のits変異株を用いて,試験薬物の細胞増殖に対する影響を調べるだけで良い。野生株の生育に影響せず,全てのits変異株の生育を抑制すれば,カルシニューリン活性を抑制する薬物で,免疫抑制活性を持つ可能性が高い。さらにその薬物が野生株のクロライトイオン感受性を高めれば,ほぼ間違いなくカルシニューリン活性を抑制することを予測できる。本スクリーニング法の他に分裂酵母カルシニューリン遺伝子破壊株を用いたMAPキナーゼ系阻害薬のスクリーニング系も開発した(11年度報告書に記載)。これらの方法を、「分裂酵母モデル系を用いたゲノム創薬とゲノム薬理学」(研究発表欄に記載)に紹介し、製薬企業などに対して共同研究と材料提供の用意があることを発表している。
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