研究課題/領域番号 |
09557012
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 展開研究 |
研究分野 |
医化学一般
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
菊池 章 (菊地 章) 広島大学, 医学部, 教授 (10204827)
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研究分担者 |
中田 元巳 住友電工, バイオメディカル研究部, 主査(研究職)
岸田 昭世 広島大学, 医学部, 助手 (50274064)
小山 眞也 広島大学, 医学部, 助教授 (00186834)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
13,100千円 (直接経費: 13,100千円)
1999年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1998年度: 2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
1997年度: 8,800千円 (直接経費: 8,800千円)
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キーワード | 低分子量G蛋白質 / Ral / RalBP1 / POB1 / Epsin / Eps15 / エンドサイトーシス / EHドメイン / RalGDS / RalGAP / シナプス小胞 |
研究概要 |
3年間の研究により、Rasの下流分子を同定し、それらの抗体や変異cDNAを作製して、その機能解析に応用した。(1)Ralの下流分子の同定とその性状解析ーーRalの標的蛋白質RalBP1の新規結合蛋白質を見出し、POB1(Partner of RalBP1)と名付けた。POB1はGrb2と結合し、EGF刺激によりチロシンリン酸化され、EGF受容体と複合体を形成した。POB1のN末端側にはEHドメインと呼ばれる領域が存在した。POB1のEHドメインに結合する蛋白質としてEps15とEpsinを見出した。両蛋白質ともクラスリンやAP-2と複合体を形成して、受容体のエンドサイトーシスを制御する重要な蛋白質であることが報告されていた。(2)抗体の作製ーー抗Ral抗体により、Ralは顎下腺、大脳、小脳、胸腺、心臓、肺、脾臓、副腎、精巣に存在することが明らかになった。大脳内ではシナプス小胞に最も高い割合で存在していた。POB1とEpsinは種々の組織や細胞に存在した。(3)機能解析ーーRalとRalBP1、POB1、Epsinの種々の変異cDNAを作製して、エンドサイトーシスにおける役割を解析したところ、RalとRalBP1、POB1はトランスフェリン受容体のエンドサイトーシスには関与しないが、インスリンとEGFの受容体のエンドサイトーシスを制御した。一方、Epsinはいずれのエンドサイトーシスも制御した。したがって、Ral/RalBP1/POB1のシグナル伝達経路はインスリンやEGFのようなリガンド刺激を受けると、そのシグナルをEps15とEpsinに伝達して、リガンド依存性の受容体のエンドサイトーシスを引き起こすが、トランスフェリン受容体のように恒常的なエンドサイトーシスには関与しないと考えられた。 以上の研究過程で得られたRalやRalBp1、POB1、Eps15、Epsinの種々の変異体や抗体はエンドサイトーシスに関する実験に役立てることができると考えられる。さらに、エンドサイトーシスに関する分子に遺伝子異常のあるヒトがんが報告されているので、Ralの下流の分子の遺伝子異常を探索することにより、新しい種類の癌遺伝子診断法が確立される可能性がある。
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