研究概要 |
抗ビリルビン抗体(24G7)を用いたELISAによる尿中ビリルビン酸化分解酸物(biopyrrin)の検出 平成10年10月より、研究用として抗BRモノクローナール抗体(24G7)を用いたbiopyrrinの測定ELISAキットの市販化を可能にした。In vivoで、体内に生成した活性酸素(酸化的ストレス)を、BR自らがantioxidantとなることにより消去しBR自身は複数の酸化分解産物(biopyrrin)として尿中に増加している。それを24G7を用いたELISAによって始めて検出に成功した。そこで多量の尿より、24G7に反応するbiopyrrin(X)の抽出分離を行い、現在まで7種類のXの存在を確認している。その内、X1,X2の分子構造の同定に成功した(山口ら、J.Biochem.1994)。X1は、1,14,15,17-tetrahydro-2,7,13-trimethyl-1,14-dioxo-3-vinyl-16H-tripyrrin-8,12-dipropionic acid,X2は、1,14,15,17-tetrahydro-3,7,13-trimethyl-1,14-dioxo-2-vinyl-16H-tripyrrin-8,12-dipropionic acidで、共に新規なtripyrrole化合物で、BV、BRに次ぐ第三の胆汁色素であった。BRからtripyrroleへの生成メカニズムとしては、一重項酸素などの活性酸素によりBRのtetrapyrroleの内、左右どちらかのpyrrole部分が開裂されて生成したものと推定している。また光化学反応により、一重項酸素(^102)とBRからX1とX2の有機合成にも成功している(杉本ら、J.Am.Chem.Soc.投稿中)。
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