研究課題/領域番号 |
09557020
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 展開研究 |
研究分野 |
実験病理学
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
吉木 敬 (1998) 北海道大学, 医学部, 教授 (60220612)
脇坂 明美 (1997) 北海道大学, 医学部, 助教授 (90113646)
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研究分担者 |
佐々木 秀直 北海道大学, 医学部, 講師 (80281806)
池田 仁 北海道大学, 医学部, 講師 (20232192)
吉木 敬 北海道大学, 医学部, 教授 (60220612)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
6,100千円 (直接経費: 6,100千円)
1998年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1997年度: 4,200千円 (直接経費: 4,200千円)
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キーワード | 脊髄小脳変性症 / CAGリピート / CACNL1A4 / CACNLIA4 / ポリグルタミン鎖 / CAG反復配列 / 遺伝子診断 |
研究概要 |
遺伝性脊髄小脳変性症(spinocerebellar degeneration:SCD)とは、おもに小脳系の変性を中心とする複数の疾患群の総称である。30代後半になって発症し、小脳失調、歩行困難、痴呆など多彩な症状が徐々に進行する悲惨な疾患で、北海道には500人を超す患者が知られている。遺伝形式から常染色体上の1個の遺伝子の異常がSCDの原因を成すと推定でき、各疾患(病型)には各々特異的な原因遺伝子が想定されている。これまでの連鎖解析によってその原因遺伝子の局在が次々と決定され、現在SCA1〜SCA7の7型が明らかとなっている。うちSCA1、SCA2、SCA3(Machado-Joseph病;MJD)については原因遺伝子が既に同定され、中に含まれるCAG3塩基反復配列の異常増幅に基づくことが明らかにされている。一方このいずれにも属さない疾患も残されている。特に日本人のSCDの約30%を占めるHolmes失調症については遺伝子座位さえ不明であった。 本研究によって我が国のHolmes型失調症の半数はSpinocerebellar ataxia type6(SCA6)であることが明らかにされ、その責任遺伝子は19p13に存在するα1A-電位依存性カルシウムチャンネル遺伝子(CACNLlA4)である事が分かった。SCA1、SCA2、SCA3など世代を重ねるに連れ重症化する、所謂遺伝的促進現象の見られる神経筋疾患では共通して不安定性3塩基反復配列の異常増幅が見られるが、Holmes失調症においても、患者ではCACNLlA4遺伝子の翻訳領域内にあるCAG反復配列が伸長していた。 本研究により、日本人のSCDの殆どはSCA1、SCA2、SCA3およびSCA6のいづれかであり、その遺伝子診断法が確立できた。これらの疾患の遺伝子異常の本態は全てCAG反復配列の異常増幅を原因としていた。CAG3反復配列はpoly-glutamine鎖となり、神経系にubiquitousに発現されている。今後はpoly-glutamine鎖がどのような機序で選択的神経細胞死を起こすかを明らかにする必要がある。
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