配分額 *注記 |
11,900千円 (直接経費: 11,900千円)
1999年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
1998年度: 3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
1997年度: 5,600千円 (直接経費: 5,600千円)
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研究概要 |
本研究を開始した当初,個々の幹細胞/前駆細胞のミエロイド(M),TおよびB細胞系列への分化能を解析できるmlutilineage progenitor(MLP)アッセイを開発し,マウス胎仔肝臓(FL)中における幹細胞/前駆細胞の分化決定の過程を明らかにする仕事を始めていた.本研究では,この方法を応用して,いろいろの臓器における前駆細胞の分化決定の状態を明らかにしてきた.FLでは,T前駆細胞(p-T)の方がB前駆細胞(p-B)よりも早期に出現することを明らかにした.さらに,FLの他にaorta-gonad-mesonephros(AGM〉領域,胎仔胸腺(FT)および成獣骨髄(BM)中の前駆細胞も検討した.本研究では,BMの研究は未完成に終わったが,他の臓器において多くの知見を得ることに成功した. AGMでは,FLに比べて非常に少数ではあるがFLと同じM,T,Bへ分化できるp-MTB,各系列に特異的なp-M,p-T,p-B,さらに中間段階のp-MT,p-MBが検出された.p-TBはFLだけでなくAGMにも存在しないことが示された.AGMにおける大きな発見は,P-Multiがいわゆる長期再構成能(long-term reconstitution,LTR)を持つ幹細胞ではないことである.すなわち,発生過程では先に多能性を獲得し,その後LTR能を獲得することが明らかとなった.FTへ移行する前駆細胞はp-Tであることを明らかにしたのであるが,このp-TはNK系列,樹状細胞(DC)への分化能を保有しているという意味でなお多能性である.本研究では,FT中でのDC系列,NK系列への分岐点を明らかにし,さらにそのような分岐には前駆細胞の強い増殖が伴っていることも明らかとなった.
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