研究分担者 |
石松 維世 産業医科大学, 産業保健学部, 助手 (40289591)
嵐谷 奎一 産業医科大学, 産業保健学部, 教授 (10141748)
東 敏昭 産業医科大学, 産業生態科学研究所, 教授 (10119000)
石田尾 徹 産業医科大学, 産業保健学部, 助手 (90212901)
則武 祐二 (株)リコー, 品質管理部, グループリーダー
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研究概要 |
有機溶剤作業において防毒マスクを使用する場合,吸収缶の寿命(破過時間)を知ることがきわめて重要であるが,これを事前に推定することは事実上困難である.本研究では,半導体ガスセンサーを吸収缶またはマスクの面体に埋め込むことにより,破過が近づくと警報を発し,吸収缶の交換時期を知ることができる安全かつ実用的な防毒マスクを開発,試作することを目的とした. 本研究ではまず,有機溶剤に選択的に反応するセンサーとして,サイマレック杜の半導体センサー(AF-63)を選び,センサーの有機溶剤蒸気に対する感度を調べた.その結果,本センサーは多くの有機溶剤蒸気について,反応することがわかった.そこで,有機溶剤蒸気を防毒マスク吸収缶に通じ,蒸気濃度をガスクロマトグラフ(GC,島津製作所,GC-17)およびセンサーで同時にモニターし,両者の信号を比較検討した.芳香族炭化水素類,アルコール類,ケトン類,塩化炭化水素類,酢酸エステル類など有機溶剤中毒予防規則で規定されている多くの溶剤について検討した結果,大部分の有機溶剤蒸気については,GCで破過を検出するとほぼ同時か,やや早い時間にセンサーは反応していることがわかった.このことから,本センサーは,有機ガス用防毒マスク吸収缶の破過の検出器として利用可能であると考えられた.これらの知見に基づき,センサーを防毒マスクの内面に取り付け,センサーが破過を検出すると音と光で警報を発する装置を試作し,使用中に破過を検出するための条件設定を行った.その結果,本装置は多くの有機溶剤蒸気について破過の検出が可能であることが確認された.ただし,現在のセンサーは消費電力が大きく,電池の消耗が早いため,長時間の使用には問題が残されている.したがって,感度を落とさずに,消費電力を小さくすることが今後の課題として残された.
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