研究概要 |
1,本年度は特に頭蓋底病変について,MRIとCT画像の統合処理を行い,この統合画像上で手術シミュレーションおよび手術ナビゲーションを行った.頭蓋底病変では,複雑な頭蓋底の構造と病変の位置関係の把握に統合画像は有用であり,とくに病変の深部への拡がりの把握に効果的であった.本画像を用いて手術ナビゲーションを行うことにより,頭蓋底病変への到達が確実に行われた.この研究成果は"Efficacy of navigation in skull base surgery using composite computer graphics of magnetic resonance and computerized tomography images."というタイトルでまとめられ,Neurologia medico-chirurgica誌に発表予定である. 2,ナビゲーション装置は,先端をバイオネット形状にし,カウンターバランス機構を設けたことにより操作性が向上し,術中ナビゲーションを円滑に行うことができた. 3,さらに、本ナビゲーション装置を手術用顕微鏡に接続することにより,ナビゲーション顕微鏡システムを構築し,位置検出精度に関する検討を行ったが誤差が大きく,臨床応用を行うには至らなかった.引き続き,改良を加えて検討を行う予定である. 4,最近,頭蓋底手術においては,顕微鏡では観察できない骨や脳神経組織等による死角を十分に観察する目的で,内視鏡が併用されてきている(内視鏡支援頭蓋底手術).本ナビゲーション装置では,先端に内視鏡を取り付けることにより,内視鏡先端の位置をモニターすることが可能であることから,内視鏡支援による頭蓋底手術への応用を検討している.このように各種手術支援装置との組み合わせにより,脳神経外科手術の安全性の向上に貢献する統合的手術支援システムの構築に関する研究をすすめる予定である.
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