研究課題/領域番号 |
09557138
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 展開研究 |
研究分野 |
小児外科
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
橋都 浩平 (1998) 東京大学, 医学部・附属病院, 教授 (50180815)
上井 義之 (1997) 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (70177567)
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研究分担者 |
木村 達治 東燃株式会社, 研究員
田沼 靖一 東京理科大学, 薬学部, 教授 (10142449)
金森 豊 東京大学, 医学部・附属病院, 講師 (20221187)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
11,500千円 (直接経費: 11,500千円)
1998年度: 4,700千円 (直接経費: 4,700千円)
1997年度: 6,800千円 (直接経費: 6,800千円)
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キーワード | アポトーシス / DNaseγ / 小児癌 / 神経芽細胞腫 / DNA断片化 / 診断法 / エンドヌクレアーゼ |
研究概要 |
本研究では、アポトーシスを司るエンドヌクレアーゼであるDNaseγを足場として、脳発達過程における生理的な神経細胞死のメカニズムを明らかにすることを目的とした。その成果として、ラット神経芽細胞腫であるB50細胞の神経分化後に観察される細胞死はアポトーシスであり、それに伴うヌクレオソーム単位へのDNA断片化はDNaseγにより触媒されることが証明された。さらに、マウス発生過程の脳において、生理的な細胞死が起きる時期にDNaseγ遺伝子の発現が誘導されることが明らかになった。このことから、脳の発生過程における生理的な細胞死において、DNaseγが重要な役割を果たしていることが示唆された。本研究により、神経分化過程においては、DNaseγ遺伝子の発現が誘導されることが明らかになり、長期にわたり生存する必要がある神経細胞においては、タンパクレベルだけでなく遺伝子レベルでもDNaseγの活性制御が存在し、アポトーシスに対する二重の防御機構が備えられていると考えられる。 神経分化後のB50細胞において観察されるDNA断片化への関与をさらに検討するため、アンチセンス法により内在性のDNaseγを抑制し、DNA断片化に対する影響を調べた。その結果、アンチセンスDNaseγ発現ベクターの導入により、神経分化後に認められるヌクレオソーム単位へのDNA断片化が抑制された。従って、B50細胞の神経分化後の細胞死に伴うヌレオソーム単位へのDNA断片はDNaseγが触媒していることが証明された。 以上の結果より、DNaseγは小児癌などにみられる自然退縮や自然治癒の起こる可能性の指標となる新たな分子マーカーになり得ると考えられる。従って抗DNaseγ抗体を用いたDNaseの発現程度を定量的に測定する技術の開発は、小児癌の分野をはじめとして成人の癌においてもその悪性度や予後の診断法として期待される。
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