研究課題/領域番号 |
09557210
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 展開研究 |
研究分野 |
応用薬理学・医療系薬学
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
石井 邦明 山形大学, 医学部, 助教授 (10184459)
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研究分担者 |
細谷 幸雄 山形県立保健医療短期大学, 助教授 (10250945)
遠藤 政夫 山形大学, 医学部, 教授 (40004668)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
13,000千円 (直接経費: 13,000千円)
1998年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
1997年度: 10,000千円 (直接経費: 10,000千円)
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キーワード | 遅延整流型K^+電流 / 抗不整脈薬 / 点変異 / Herg / 第6膜貫通領域 / 脱活性化 |
研究概要 |
致死的不整脈を引き起こす家族性QT延長症候群の原因遺伝子のひとつであるHergを発現させ、流れる電流に対する抗不整脈薬の影響および薬物結合部位に関する検討を行った。Hergがコードするチャネル(I_<kr>を流す)は第3群薬の作用対象であり、その抑制が薬物などによる二次性QT延長を引き起こすことが知られているため、Hergを発現させた系が薬物評価の上で有効かどうかを検討することを大きな目的とした。Hergを卵母細胞に発現させ、第1群薬のquinidine、第3群薬のMS-551、E-4031、dofetilide、第4群薬のverapamilの作用を調べたが、全ての薬物は濃度依存的にHerg電流を抑制した。この結果は定性的にI_<kr>電流に対する作用と同様のものである。薬物の結合部位に関しては、ヒト心筋Kvl.5(I_<kur>こを流すと考えられている)において、quinidineの結合に第6膜貫通領域(S6)が関与しているという報告が見られたため、HergについてもS6の変異体を作製して検討したところ、S6の中間領域にあたる647番目のアミノ酸の点変異体I647Fにおいて、第1群薬のquinidine,第3群薬のE-4031の作用の減弱が認められた。薬物によるblockおよびunblockの検討から、E-4031の作用がS6点変異体において減弱しているのは、主としてチャンネルの閉じ状態において薬物の解離が起こっているためと考えられた。今回薬物の作用に影響したS6のアミノ酸が薬物結合部位の啓成に関与しているのかどうかについては明らかでないが、最近の報を元にするとアロステリックな影響を及ぼしている可能性がより高いと思われる。また、面白いことに1647Fにおいて電流の脱活性化の遅延が見られたため、同部位の他の点変異体を作製して検討したところ、647番目に芳香環を有するアミノ醸が存在することが、脱活性化の遅延に関与している可能性が示唆された。Hergの遅い脱活性化はこの電流が再分極相で大きく寄与する上で重要な性質であるが、このような情報はHerg活性化薬の開発に役立つかも知れないと期待される。今後、Hergを含めヒト遺伝子を発現させた系が薬物開発などにおいてもますます利用されていくものと思われる。
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