研究分担者 |
南 裕子 兵庫県立看護大学, 看護学部, 教授 (70094753)
前原 澄子 三重県立看護大学, 看護学部, 教授 (80009612)
中西 睦子 神戸市看護大学, 看護学部, 教授 (00070681)
稲岡 文昭 日本赤十字看護大学, 看護学部, 教授 (40151568)
樋口 康子 日本赤十字看護大学, 看護学部, 教授 (50198991)
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研究概要 |
多様な看護教育制度下にあって,学士資格をもたない現任者の大学進学の動向をふまえ,看護系大学として成せる学士取得への方策を検討することを目的として実態調査を実施した。 【調査方法】1.病院・学校調査:13政令市200床以上の病院481施設と,全国の看護婦等養成校570校の看護関係の長に郵送によるアンケート調査を実施した。回収数は,病院では177件(36.7%),養成校299件(52.5%)であった。2.個人調査:上記調査によって把握された既卒者,在学者に対してアンケート調査を実施した。回収数は病院勤務者555件(回収率48.6%),養成校勤務者737件(回収率71.5%)であった。 【実態の概略】1.病院看護職のうち既卒者のいる施設は159件(89.8%),在学者109件(62.3%),養成校では既卒者219件(73.5%),在学者224件(75.7%)であった。両者ともに看護系以外の学士取得者が全体の約6割を占めた。2.病院,養成校の両職員のスタンダードな進学経路は,高校→看護婦養成校(3年)→看護系以外の大学(86%)であり,受講形態は通信教育が多い。3.進学率は1985年以降顕著に増加し,1995年以降は40歳台の増加が目立つ。大多数が退職せずに修学し,学士取得に要する年数は平均5.9年であった。4.約半数の者が条件さえ許せば看護系大学を選択したと回答し,その条件として多数が「地理的条件」「仕事をしながら学べる」を挙げた。 【門戸開放の必要性と課題】大多数が地域生活も仕事も継続するというライフスタイルの中に就学を組み込んでいる。そのうちの半数が看護系大学への進学の希望がかなわなかったことをふまえ,看護系大学として多様な編入学教育を積極的に進める必要がある。今後の課題としては,当該学生の臨床能力を強化できる教科目の用意といった教育内容の工夫や,教育組織及び教員数の再検討,奨学資金の拡充に大学としての働きかけなどが挙げられる。
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