研究概要 |
顔面・頸部のがんは上顎,口頭,咽頭,上部食道,舌下腺,耳下腺,蓄膿など多岐にわたり,手術が行われる場合,眼などの臓器や顎骨を取り除いたりすることにより顔部に大きな形状変化を伴うことが多い.また人の目に付くところであり治療と共に手術後どのような形・外見となるか患者や家族の関心が高い.本研究はこのような手術にコンピュータ技術を適用する目的で主に(1)人の臓器の物理的性質(特に柔らかさ)を持つモデル(骨,皮膚,筋肉,脂肪など)の構築,(2)顔のテキスチャの取得法,(3)手術後の顔部形状形成の3つの課題について研究を行った.(1)では臓器の物理的性質を反映するバネモデルの構造やパラメータの同定の問題が重要である.(2)ではCT画像にはテキスチャーがないため,手術前に患者さんの正面,両側面のカラー写真を3枚取得し,その(2次元)画像を3次元CTから得られた3次元表面上に正確に張り付ける方法に焦点がある.(3)では(1)でえられたバネネットワークモデルにおいて,手術で切除する部分に相当するバネを切除した後,安定に達したバネネットワークの形状により手術後の顔部の形状を推定する方法である.手術が行われた患者の手術前と後の2次元画像を用いて,手術がまだ行われていない人の3次元画像を用いて,手術後の3次元画像を推定した結果を複数の医師による評価が行われた結果,良好な結果をいう判定が得られた.
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