研究課題/領域番号 |
09558046
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 展開研究 |
研究分野 |
社会システム工学
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
今野 浩 東京工業大学, 大学院・社会理工学研究科, 教授 (10015969)
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研究分担者 |
古川 浩一 東京工業大学, 大学院・社会理工学研究科, 教授 (20016455)
白川 浩 東京工業大学, 大学院・社会理工学研究科, 助教授 (10216187)
高橋 昭彦 日本興行銀行, 調査役, 研究職
鈴木 賢一 東京工業大学, 大学院・社会理工学研究科, 助手 (30262306)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
7,500千円 (直接経費: 7,500千円)
1998年度: 3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
1997年度: 4,300千円 (直接経費: 4,300千円)
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キーワード | 取引コスト / 動的最適化 / 資産運用 / ユニバーサル・ポートフォリオ / 平均・絶対偏差モデル / コンパクト分解 / 大規模最適化 / 確率制御問題 |
研究概要 |
資産運用モデルの研究において取引コストを明示的に扱ったのは、1984年のPeroldが最初である。しかしこのモデルを解くには、膨大な計算が必要とされるため、必ずしも実用的とはいえない。またこのモデルは、一期間のポートフォリオ管理を考えたものであり、継続的な資産運用に適したモデルではない。また1991年には、Davisが取引コストが存在する場合の最適な動的資産運用法について明らかにした。ところがこのモデルも、最適解の計算に大変な時間がかかる上に、選択可能な資産が2資産に限定されるという点で、実際の資産運用に利用することはできない。 このように、取引費用がある場合の資産運用モデルの構築や資産の価格付けは、実務面できわめて重要かつ緊急の課題であるにも拘わらず、まだその研究は緒についたばかりであって、そのためのソフトウェアほとんど整備されていないのが実情である。そこで以下では、取引コストの取り扱い方に関するわれわれが採用した新しいアプローチを、やや具体的に説明する。 取引コストが資産運用問題を難しくする最大の理由は、定式化された数理計画問題が非凸型最適化問題となることである。このため、非凸型コストを線形近似するアプローチが用いられてきたが、その近似は一般に極めて悪く、実用面から見て問題の多いものであった。 これに対してわれわれは、今野が提案した平均・絶対偏差モデルに取引コストを取り入れた場合、線形近似と分枝限定法を併用することによって、精度のよい近似解を生成できること、そしてこの近似の精度はモデルの変数が大きくなるほど向上することを実証した。 またこの研究では、この手法を用いたソフトウェアを作成し、実際の市場データを用いて、これが従来のものに比べて格段に実用性の高いモデルであることを実証した。なお上記のアプローチは、取引コストがある場合の派生証券の評価においても有効であることが、白川らによって示されており、上で得られた成果はこの問題にも直ちに応用できるものである。 今野らは、かねてより低ランク非凸型最適化の分野で、大規模な実用的問題に対する効率的解法を研究してきたが、今回取引コストがある問題に対する効率的解法が開発されたことは、ファイナンスにおける様々な難しい問題を解くための突破口が開かれたことを意味する。
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