配分額 *注記 |
13,300千円 (直接経費: 13,300千円)
1999年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
1998年度: 3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
1997年度: 7,000千円 (直接経費: 7,000千円)
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研究概要 |
本研究の目的は、固体状態を対象にできる多次元NMRによって信号帰属,原子間距離や二面角情報を得る方法を開発し、タンパク質の高次構造解析に応用することである. 二面角などコンフォメーションを決める角度情報を得る方法を開発した。この方法は、核スピン間で磁化を移動させて、異なる原子の核スピン相互作用の相対的な配向を決めて角度情報を得ようとするものである。この実験では試料回転条件でCH双極子相互作用や化学シフト異方性を測定する新しいパルス列を用い、3次元NMRスペクトルを測定した。これを^<13>Cで標識したバリンに適用し、タンパク質側鎖の二面角に相当する角度を求めた。 また,同種核間で高い効率で磁化を移動する方法を開発した.これにより信号帰属や二面角測定などのためのNMRスペクトルの感度が向上する.この方法の原理は,試料回転と同期させた180゜パルス列を照射することで双極子相互作用の配向依存性を減らして磁化移動を行うものである. 高精度な構造解析のためには、分子は試料中で一様な構造を取っている必要がある。このような固体試料を得るために、多くの方法で試料調製した分子量約5万のTF_1-ATP合成酵素βサブユニットとATP複合体について、リン-31固体NMRシグナルを測定した。この解析から、急速凍結法やトレハロースなど凍結防止剤の使用が有用なことを明らかにした。 また,15アミノ酸残基からなる,マストパランの2箇所を標識して固体NMRで距離測定を行った.この結果を解析することにより,5番目から8番目までの残基についてはαヘリックスに近い構造を取る事がわかった.さらに,全構造を決めるために,大量発現を行い^<13>Cと^<15>Nで完全標識し,約10mgの試料を得た.この量は固体NMR測定を行うには十分なものなので,今後,この試料をタンパク質モデルとしてより複雑の系の構造解析法を開発する予定である.
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