研究課題/領域番号 |
09558096
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 展開研究 |
研究分野 |
分子生物学
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研究機関 | (財)癌研究会 |
研究代表者 |
小池 克郎 財団法人癌研究会, 癌研究所・遺伝子研究施設部, 部長 (30085625)
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研究分担者 |
林 恭行 財団法人癌研究会, 癌研究所・遺伝子研究施設部, 研究員 (90198862)
橋本 修一 明治乳業, ヘルスサイエンス研究所, 課長研究員
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研究期間 (年度) |
1997 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
11,300千円 (直接経費: 11,300千円)
1999年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
1998年度: 2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
1997年度: 5,500千円 (直接経費: 5,500千円)
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キーワード | 癌抑制遺伝子p53 / ヒト肝癌 / 遺伝子治療ベクター / HBV・X遺伝子 / HCV・コア遺伝子 / プロモーター / 細胞死 / 転写カセット / HBV X遺伝子 / アデノウイルスタイプ5 / M4プロモーター / アポトーシス |
研究概要 |
日本人の肝癌では、癌抑制遺伝子p53が変異したものが30%前後ある。本研究では、53遺伝子が変異したヒト肝癌を標的とした遺伝子治療ベクター開発を目的とした。p53変異細胞で増殖できるように操作したアデノウイルス(Ad)に、p53変異肝癌細胞でのみ特異的に高発現するプロモーター/エンハンサーの下流に細胞死に関連した遺伝子を挿入し、肝臓細胞への指向生を利用するものである。 肝臓細胞で特異的に発現が調節されるB型肝炎ウイルス(HBV)のX遺伝子のM4プロモーターは、p53遺伝子が正常な細胞では殆ど発現せず、p53変異細胞でのみ著しく発現することが明らかになった。そこで、このM4プロモーターの下流に例えば、細胞死に関連している遺伝子Aを挿入し、この転写カセットをAd5ベクター中に挿入すれば、p53変異肝癌の遺伝子治療に極めて有効な候補が開発されることが期待される。 細胞死関連遺伝子として、まずHBVのX遺伝子を用いた。X蛋白質は転写活性因子として知られているが、最近の我々の研究からX蛋白質の中央領域が細胞死に特異的に関係することが明らかになった。X遺伝子をAd5ベクターのE1領域に挿入し、p53変異肝癌の遺伝子治療用の組換えAd5ベクターを作製した。又、C型肝炎ウイルス(HCV)のコア遺伝子の利用も検討したが、細胞死作用が弱いことが判った。これと並行してKB細胞由来のIL-6(KB)がp53変異細胞の細胞死を強く誘導することを明らかにしたので、これをM4プロモーターの下流に挿入した転写カセトを作製することを試みることにした。 昨年の9月、米国ペンシルバニア大学でアデノウイルスベクターでのOTC患者の治療中死亡が報告され、Adベクターの治療の中断が米国FDAにより指示された。その結果、遺伝子治療に用いるAd5ベクターそれ自身の安全性も問題となった。その後、Ad5ベクターの事故に関連した部分についての検討が開始されたので、この検討結果によっては、Ad5それ自身の更なる改変が必要となると判断し、それまでに遂行してきた開発を一時中断することにした。本年の3月になって、死亡の原因が投与法によるものと中間報告が得られ、ベクター自身の問題ではないとのこととなり本研究もその後Ad5ベクターの使用を再開することとなった。
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