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古代中国における五惑星と政治的予言の研究-科学としての天文学と社会思想史との接点

研究課題

研究課題/領域番号 09610016
研究種目

基盤研究(C)

配分区分補助金
応募区分一般
研究分野 中国哲学
研究機関愛媛大学

研究代表者

串田 久治  愛媛大学, 法文学部, 教授 (70127223)

研究期間 (年度) 1997 – 1998
研究課題ステータス 完了 (1998年度)
配分額 *注記
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1998年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
1997年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
キーワード天文学 / 歳星 / 〓惑星 / 填星 / 太白星 / 辰星 / 予言 / 災異説
研究概要

一九七三年に長沙馬王堆三号漢墓から出土した『五星占』を『甘氏占』や『石氏占』、『史記』天官書や『淮南子』天文訓、『漢書』天文志、『後漢書』天文志と比較したところ、ほぼ一致する内容の記録が見えることが判明した。このことから五感星に賦与された中国独自のイメージは漢代初期にすでに定着していたこと、また、『晉書』天文志とも大差ないことから、五惑星の担った役割は時代を越えてほぼ一定であったと断定できる。
『五星占』や『甘氏占』・『石氏占』には五惑星の吉占が生きている。しかしながら、『史記』以降の記録には五惑星の吉占が現実の事象と結び付く例は極めて少なく、五惑星がその特色を顕著に示すのは吉占ではなく凶占である。更に、五感星の観察記録は単独の運行記録よりも複数の惑星の接近・会合の記録がほとんどである。二つの惑星が接近する現象はその頻度が高いだけでなく、その組み合わせの多さからも、占いのバリエーションが一挙に増えるからでろうが、前漢高祖より六百年余を整理してみると、惑星の接近・会合が吉を占うのは一例のみで、二つ以上の惑星の接近・会合は内乱・飢饉・陰謀・旱魃・大喪・大敗・疾病等々、すべて凶事を予測させるものである。ただ、人格化していた五感星の中で擬人化が具体的な《予言者》として姿を見せるのは〓惑だけであった。しかし、それは五惑星による占星が社会批判・権力批判を任とすることが定着していたことによると考えられる。すなわち、権力の暴走に歯止めをかけた災異説が董仲舒の意を越えて災異の予占化の道をたどり、ついに圖讖の名のもとに権力の正当化に利用されるて本来の批判精神を骨抜きにされたが、五惑星の占星は古代の占星の姿を借りて最後まで災異説の精神を継承しようとしていたと考えられる。
極めて客観的な操作、天文観測という科学的行為は、不合理・非科学的の一語で一蹴されがちな「予言」を媒介に、実にストレートに現実の人間社会に機能していた。これが古代中国の天文学のもうひとつの意義であると言わねばならない。このことは、中国の神秘思想がいかに当時の社会において合理的であったかということの証しともなろう。

報告書

(3件)
  • 1998 実績報告書   研究成果報告書概要
  • 1997 実績報告書
  • 研究成果

    (14件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (14件)

  • [文献書誌] 串田久治: "『「童謠」と〓惑星伝説の基礎的研究-後漢以後のおける讖緯説の展開』" 平成6・7・8年度科学研究費補助金基盤研究(C)研究報告書. 1-70 (1997)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
    • 関連する報告書
      1998 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] 串田久治: "『中国古代における「謠」の思想史的研究』" 博士(文学)論文(大阪大学). 1-241 (1998)

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      「研究成果報告書概要(和文)」より
    • 関連する報告書
      1998 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] 串田久治: "劉向『新序』訳註(八)" 『愛媛国語国文』. 第47号. 94-107 (1997)

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      「研究成果報告書概要(和文)」より
    • 関連する報告書
      1998 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] 串田久治: "劉向『新序』訳註(九)" 『愛媛国語国文』. 第48号. 50-59 (1998)

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      「研究成果報告書概要(和文)」より
    • 関連する報告書
      1998 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] 串田久治: "『古代中國の「謠」と「予言」-「謠」の思想史的研究』" 株式会社 創文社, 320 (1999)

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      「研究成果報告書概要(和文)」より
    • 関連する報告書
      1998 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] Hisaharu KUSHIDA: "A Foundamental Research on Prognostication in "DONG-YAO" Those Based on Mars and Society of Ancient China" The Final Repert of Grant-in-Aid for Scientific Research (C), from '94 to '96. 1-70 (1997)

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      「研究成果報告書概要(欧文)」より
    • 関連する報告書
      1998 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] Hisaharu KUSHIDA: "A Study of Social Thought Based on the "Yao" of Ancient China" A Doctoral Dissertation(Osaka University). 1-241 (1998)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
    • 関連する報告書
      1998 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] Hisaharu KUSHIDA: A Study of Social Thought Based on the "Yao" and prognostication of Ancient China, 1-320 (1999)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
    • 関連する報告書
      1998 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] 串田久治: "『中国古代における「謠」の思想史的研究』" 博士(文学)論文(大阪大学). 1-241 (1998)

    • 関連する報告書
      1998 実績報告書
  • [文献書誌] 串田久治: "劉向『新序』訳註(九)" 『愛媛国語国文』. 第48号. 50-59 (1998)

    • 関連する報告書
      1998 実績報告書
  • [文献書誌] 串田久治: "『古代中國の「謠」と「予言」-「謠」の思想史的研究』" 株式会社 創文社, 320 (1999)

    • 関連する報告書
      1998 実績報告書
  • [文献書誌] 串田久治: "「童謠」と〓惑星伝説の基礎的研究-後漢以後のおける讖緯説の展開" 平成6・7・8年度科学研究費補助金基盤研究(C)研究成果報告書. 1-70 (1997)

    • 関連する報告書
      1997 実績報告書
  • [文献書誌] 串田久治: "中国古代における「謠」の思想史的研究" 博士(文学)論文. 1-241 (1998)

    • 関連する報告書
      1997 実績報告書
  • [文献書誌] 串田久治: "劉向『新序』訳註(八)" 愛媛国語国文. 第47号. 68-82 (1997)

    • 関連する報告書
      1997 実績報告書

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公開日: 1997-04-01   更新日: 2016-04-21  

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