研究課題/領域番号 |
09610040
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
倫理学
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研究機関 | 金沢工業大学 |
研究代表者 |
秋山 一実 金沢工業大学, 工学部, 講師 (10278096)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1998年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1997年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
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キーワード | 配所残筆 / 山鹿素行 / 文献学 / 自筆本 / 写本 / 翻刻 / 増補本 / 在採叢書 / 古老遺筆 / 存採叢書 |
研究概要 |
1、山鹿素行自筆本『配所残筆』の実見調査によって、明治42年刊「複製本」の複製・印刷技術上の過誤や不備を確認した。松浦厚筆の「箱書」(未公開)を資料として蒐集した。わたしが最新の活字翻刻『続神道大系』本(底本「複製本」)を作成した時、種々出来した不明箇所や疑念部分の解決・解消をはかることができた。「自筆本」を底本にして、完成度の高い翻刻・校注本『配所残筆』を作成し、『続神道大系』本の誤植を13件訂正、校注を8件補正することができた。 2、内閣甲・乙本、宮書甲・乙本、東博本、京大本、東大本、岩瀬本、山鹿甲、乙本、神習本、茨大本、佐野本、伝習本、松浦本、中山本の「写本」16点の文献学的な実見調査をした。唯一の「自筆本」の謄写本「山鹿甲本」を発見した。その他は「自筆本」に〈素行の延宝6年10月16日付の文書4通〉を増補し、本文を全面改訂した仮称「増補本」であることがわかった。「写本」16点と「自筆本」との対校結果のデータを記入した〔校異一覧〕を作成した。 3、「山鹿甲本」の資料的な価値を、具体的な数値や事例について分析した結果、「自筆本」の校訂に有意義な内容を持つ写本であることがわかった。「自筆本」の虫損文字16字のうち15字判読可能なこと、校訂に有効な異同が9件あること、無意味な空白部分を1箇所削除していること、補正に有益な加筆や増補が11件あること、以上、4件の事項についてである。 4、『配所残筆』の流布本「増補本」の成立事情とその資料的な価値を解明するために、『存採叢書』本の増補部分を翻刻し、それに『岩波文庫』本で対校した結果を「〔校異〕『配所残筆』の"増補"部分」として作成した。『存採叢書』本と『岩波文庫』本の増補部分の翻刻には、素行が「増補本」を著作した真意を判断するのに重要な箇所 を削除しているという欠陥があることを明らかにした。『配所残筆』の「増補本」は、素行の意思と素行自身によって、延宝6年12月頃に、「自筆本」の本文部分の改定がなされ、増補部分の追補がなされたことを解明し、自説として提示することができた。
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