研究課題/領域番号 |
09610043
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
思想史
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
三島 憲一 大阪大学, 人間科学部, 教授 (70009554)
|
研究分担者 |
徳永 恂 大阪国際大学, 政経学部, 教授 (70027952)
木前 利秋 大阪大学, 人間科学部, 教授 (40225016)
山口 節郎 大阪大学, 人間科学部, 教授 (30061964)
細見 和之 大阪府立大学, 総合科学部, 講師 (90238759)
|
研究期間 (年度) |
1997 – 1999
|
研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
|
配分額 *注記 |
3,100千円 (直接経費: 3,100千円)
1999年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
1998年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
1997年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
|
キーワード | 限定否定 / 否定弁証法 / カント / 客観 / 権威主義的家族 / アドルノ / ベンヤミン / 『否定弁証法』 / 『美学理論』 / 戦後民主主義 / 『啓象の弁証法』 / 文化産業 / 非同一性 / 批判理論 |
研究概要 |
アドルノの後期思想について、当初は『美の理論』『否定弁証法』などの公刊されている著作から出発して検討を開始した。研究期間中にアドルノの書簡集の一部、また50年代、60年代の講義のノートや速記録の公刊が進み、研究に大いに寄与した。それにより、アドルノの後期においては、<限定否定>の概念がデモクラシーの基本的な思考としてますます重要性を帯びてきたこと、一見エリート的な彼の思想が、実は思想の道具化、イデオロギー化を避ける手段であったことが解明され、今後の社会理論のあり方に重要なヒントとなった。また、主観による認識の構成という点で近代の主観性の哲学の推進者であるように見えるカントが、実は<客観の優位>、<物質性>の重要性を意識していたことを述べ、カントの中に密かに形而上学的救済への夢が宿っていることを指摘するアドルノの議論が、彼にとっていかに重要であるかが、カントについての講義録などからも浮かび上がってきた。また、アドルノとハイデガーの同型性と異形性の問題も論じられた。この点は、現代哲学のあり方を考える上で重要な認識であった。また、後期アドルノにとって、アメリカ時代の権威主義的家族に関わる共同作業が、社会学的思考という点で重要な役割を持ち続けたことも、解明された。
|