研究概要 |
運動店群の振り子型多重構造とそれら相互間の微妙なリズム表現からの組み合わせから生じるPoint-Lights-Walker(以下PLW)知覚では,動作者(Actor)の男女差・老若印象といったものまでが明瞭に感じ取れる.8名のActor(男女各4名,18才〜62才)から作成されたPLW図(Actor背面の肩・腰・膝・踵各相当部位に左右一対ずつ取り付けた計8個の光点がActor歩行中に描く運動点群図)を20〜30名集団で被験者(420名,その内20名は米大学学部生)にビデオで示し,得られたPLW図の性別・年齢別判断の結果を分析した. PLW図の性別判断正答率は平均72%で,日米間に判断傾向の違いは認められない(X^2=7.53).各Actorに特徴的な差異が認められ(X^2=196.83, P.>0.01,df=7).高年齢Actorに特徴的な動作特性が正答率を高めた.男性(194名)女性(206名)による判断結果から得た性別信号感度指標値では,男性(d'=0.69)より女性(d'=0.74)により優れた感受性が認められた.結果から,PLW知覚においては,Actorに固有の運動特性,PLW運動点群の空間配置とそれらの相互運動協応関係,観察者に備わる個体差特性,などの諸原因がそれぞれ深く関わっていることが明らかにされた.
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