研究概要 |
本研究では,映画やTVにおける暴力映像や暴力的テレビゲームが視聴者にどのように受けとめられ,また,視聴者の認知,感情,生理反応および行動に影響を及ぼすかをテーマに6つの実験を行い,その成果は3章からなる報告書にまとめられた.まず,第1章「暴力映像の印象評価と分類-娯楽性と暴力性の観点から-」(研究1・2・3)では,人気の高いTV番組や映画から28の映像を選び,視聴者の印象評価の分析から,暴力映像は,残酷で衝撃的な「暴力性」の高い暴力映像と,残酷さがなく虚構的で様式化された「娯楽性」の高い暴力映像の2種類に分けられることを明らかにし,各々の映像の持つ特徴が分析された.次に,第2章「暴力映像と攻撃」では,表現形式の異なる映像刺激(「暴力性」の高い映像と「娯楽性」の高い映像)を用いて,暴力映像が視聴者の認知・感情・生理反応・攻撃行動に及ぼす効果を実験的に検討した(研究4).そして最後に,第3章「暴力的テレビゲームと攻撃」(研究5・6)では,多様なテレビゲームを役割同化性と刺激反応性の2側面から分類し,各々の特徴の強いテレビゲームがプレイヤーの認知・感情・生理反応そして攻撃行動にどのような影響を及ぼすかを実験的に検討し,また仮想現実感・全能感・他者軽視感など,テレビゲームの持つ様々な特性が検討された.
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