研究概要 |
本報告は,福島市の生涯学習振興計画を特に市民の生涯学習活動を支える学習条件整備の観点に基づき把握した。具体的には,福島市が推進する「生涯学習圏域」の設定にかかわり,社会教育施設としての公民館が新たな生涯学習関連施設として登場している「地域学習センター」とどのような関係構造をもつて「刷新」・「再編」されていこうとしているのかを把握した。確かに,福島市の「生涯学習圏域」の設定の背景には,今日展開されている地方分権推進法('95)ならびに生涯学習審議会答申「社会の変化に対応した社会教育行政の在り方について」('98),「地方分権一括法」(2000.4施行)による「社会教育法一部改正」等の影響を確認できる。 こうした状況の下で,福島市の生産学習振興計画が準備されていく動向とそれが「刷新」・「再編」されていく構造を概結してみた時に,捉えられる特徴はきわめて単純化すれば次のようなものである。すなわち,「地方分権推進」に対応して進められる「行政改革大綱」は地方自治体の組織・機構の再編を必然とし「総合行政としてのネットワーク型行政」を要求している。そしてこの「総合行政としてのネットワーク型行政」は「市民の力」に期待する新しいスタイルの「地域づくり構想」が前提とされるものであり,その結果, 「市民の力」(民間活力)を生涯学習ボランティアとして計画的に養成することを担う「生涯学習推進計画」・「生涯学習ボランティア(生涯学習アドバイザー)養成講座」等が全面的に展開されたという特徴である。 戦後公民館学習実践が残してきた歴史的遺産とも言える「自己教育・相互教育」の観点から上記の特徴をもつ「福島市生涯学習振興計画」を検討し,今後の高齢化社会に対応する「生涯学習圏域設定」に関わる課題の整理に努めた。
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