研究概要 |
熱田神宮で刊行されている『熱田神宮文書』『熱田神宮史料』の収載方針は、原則として熱田神宮・旧社家所蔵や旧蔵の原本・写本に限定されたものであり、蒐集範囲が狭く熱田社研究の基礎テキストとしては問題が多い。そこで古代・中世部分の解決策として、平成9年〜12年度にわたって本研究を行った。その結果、現在約1,100件のカード(約2,500枚)を作成し、史料原文以外は所定の項目(西暦・和暦・月日・出典・綱文・人名・地名・件名)にしたがってデータの入力を終えている。これらの項目から古代中世熱田社の基本的な史料年表を作成し、研究課題の稿本を完成させた。これによって、史料検索の上で熱田社および神社研究者のみならず、政治史・社会経済史研究者にもある程度の寄与はできたと考えている。 しかも本研究中に、平治の乱における大宮司家の通説と異なる動向、社領に関する新史料の提示と分析、大宮司の補任情況の変質、社家系図の内容分析などの新たな論文を公表でき、その一部は神道宗教学会から平成11年度「神道宗教学会奨励賞」を受賞することができた。 しかし本研究は『史料綜覧』的なもので、史料検索上一定の目安とはなるものの、史料そのもの、とくに活字化されていない史料を直接利用できるものではない。またパソコン上での地名・人名・項目検索についても、該当史料名とその年代を知ることはできるが、やはり飛躍的な利便性をもつとは言い難い。そこで第一に史料カードに貼付した史料原文および蒐集漏れの史料を編年史料集として活字化すること、第二に史料そのものをデータベース化して全文検索を可能にすることの二点を次の目標に掲げた。
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