研究概要 |
下記のように,それぞれ相互に関係をもつ3パートについての研究を行った。 1.共和制前期の財政システムとその趨勢を、国家統治のありかたと関連づけて把握しようとした。そこでは,統計データ系列の整理と推計値の再構築を展望しながらも,その基礎をなす制度的データの整理を可能な限りおこない、それにもとづいて財政制度の構造変化を分析することを、中心作業とした。つまり,その時々の財政制度にかかわる事実項目の総覧表を,財政的諸法律を中心としながら可能な限り作成し,それをもとにして,財政制度の概略的段階を押さえ,財政制度と政策動向の関係づけを試みるた。そのさい、特に本研究のいま一つのテーマをなす,統治と財政の関係,すなわち本国=植民地,中央=地方政府財政関係の制度変化に留意した。 2.上の研究のためには,「財政制度資料の整理とデータベース化」をすすめる必要があった。上の検討の資料的根拠をなす財政的法律のデータ整理は,系統的に行われなければならなかった。 3.フランス第三共和制国家と社会に関する諸研究に関する近年の研究潮流についてレビューを可能な限り行う必要があった。特に1980年代以降に出された,O.RUDDELLEらの「共和制」研究に注目し,当時の国制的特徴を把握しながら,本研究のテーマ「第三共和制期(1870-1914)における国家統治と財政問題」の分析に資する視点を得ようとした。
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