研究課題/領域番号 |
09610377
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
西洋史
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
関内 隆 東北大学, 大学教育研究センター, 教授 (50125473)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
1999年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1998年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
1997年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | イギリス保守党 / イギリス保守主義 / 急進的保守主義 / ジョゼフ・チェンバレン / 関税改革 / 自由統一党 / 保守党 / 保守主義 / 社会帝国主義 / J.チェンバレン / 自由貿易 |
研究概要 |
本研究は、世紀転換期イギリスにおける「保守主義の危機」顕在化と「急進的保守主義」台頭に視点を据え、「急進的保守主義」勢力が何故に関税改革構想を共鳴盤として結集するに至ったのか、この政策構想が保守主義勢力全体に如何なるインパクトをもたらし、党内抗争が保守党の思想潮流と選挙基盤にどのような影響を与えたのかを明らかにすることにより、保守党・保守主義の変化の実態とその歴史的意義の解明を課題とした。 保守党は、自由党分裂と自由統一党の結成、自由統一党との政治的連立を通して都市ミドルクラスを中心とする諸利害にその基盤を拡大していった。だが、そのことは党の主導権をめぐる従来からの地主的利害と新たな利害との軋轢を生み出すことになった。保守党はまた、選挙権拡大を背景に労働者を支持基盤に組み入れる必要にも迫られていた。J.チェンバレンの関税改革構想は、「生産者同盟」の視点から国内諸利害の結集を唱えて自由貿易を批判するとともに、労働者の社会統合をも視野に入れた政策を提示した。よって、この構想は「保守主義の危機」に対して、党内の「水平的」「垂直的」統合を実現し得る策として迎えられ、急進的保守主義勢力を結合させる手段を提供した。しかしながら、保守党内には伝統的保守主義勢力がなおその強さを保持していた。これら守旧的諸利害は関税改革を、自由党政権の「人民予算」案に対する代替的な財政政策としてプラグマティックに位置づけ、関税改革構想に改宗したのであった。「急進的保守主義」も議会制度や政党政治を真正面から批判する「急進的右翼」とは一線を画し、保守主義の枠組みの中に留まった。1910年総選挙は、関税改革論が北部イングランドの工業諸利害に対してではなく、南部イングランドを基盤にするジェントルマン資本主義利害に、保守党の主導権を握る政治的手段を提供したことを如実に示している。
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