研究課題/領域番号 |
09610413
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
考古学(含先史学)
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研究機関 | 奈良国立文化財研究所 |
研究代表者 |
小林 謙一 奈良国立文化財研究所, 埋蔵文化財センター, 情報資料室長 (70110088)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1999年度: 400千円 (直接経費: 400千円)
1998年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1997年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 弓矢 / 甲胄 / 木製甲 / 重い鉄鏃 / 長頸鏃 / 騎兵装備 / 甲冑 / 弓矢の実用性 / 木製短甲 |
研究概要 |
武器・武具の変遷を検討するにあたり、それらが、実用であるか否かは、重要な要素の一つである。これを検証するため、主要な攻撃用武器である弓矢について、古墳出土資料に基づいて復原模型を製作した。復原弓矢を試射した結果、飛距離や貫通力・衝動力の点から、古墳時代の弓矢は、十分実用に耐えうるものであると判断されるにいたった。防禦具の存在が確認される弥生時代以来、攻撃用武器と防禦具は、ともに実戦の装備として用いられ、表裏一体の関係で変遷しているのである。 弥生時代における、板綴甲より厚さのある刳抜甲の出現は、石製武器の大型化に対応するものである。古墳時代の4世紀末以降、木製甲・木製盾に替わって鉄製甲冑・革製盾が普遍化する背景には、木製防禦具を損壊させる重い鉄鏃が増加する状況を窺うことができる。5世紀中葉には、挂甲・眉庇付冑と長頸鏃が出現する。これらは、新式の武器・武具であり、本来的には、北方系の騎兵装備である。その源流は、韓半島北部から中国東北地方にかけての地域にあると考えられ、日本列島には、韓半島南部を経由して伝来した。ただし、騎兵による戦いがあったことを示す資料は乏しい。5世紀後半以降、古墳から出土した甲冑に、攻撃を受けて損壊した箇所を補修している例が確認されることから、この時期にいたり、攻撃力が防禦力を上回りつつあったと考えられるであろう。また、貫通力のある長頸鏃に対して、革製盾は有効な防禦具とはなりえない。盾中央部に鉄板を取り付けたりするが、再度、木製盾が採用されたと考えられる。 このような変遷の要因としては、日本列島内における、国家としての統一に向けての戦いのみならず、対外的な交流や緊張関係の高まりを指摘することができる。
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