研究課題/領域番号 |
09610448
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
国文学
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研究機関 | 大阪商業大学 |
研究代表者 |
石上 敏 大阪商業大学, 経済学部, 助教授 (60201315)
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研究期間 (年度) |
1997 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
2000年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1999年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1998年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
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キーワード | 近世文学 / 戯作 / 上方 / 江戸 / ジャンル / 文体 / 出版 / 文化史 / 江戸文学 / 上方戯作 / 江戸戯作 / 近世 / 比較文化 |
研究概要 |
当研究では先ず、出版に関する調査を行ない、森島中良の版本を主体に江戸と上方との出版システムの差異を検討した。ただ、現存の知られる資料の範囲では江戸が、また上方においても京都が、大坂に比して類推にたよる部分が多く、今後、より効果的な検討方法を模索する必要を強く感じた。 次にジャンルの問題であるが、これには主に大坂の戯作版本に目を通す過程で江戸戯作の分類規範には収まり切らない要素が多々存在することを確認し得た。例えば滑稽本というジャンルひとつとっても、上方には上方滑稽本の展開が認められ、江戸と同一には論じ得ない。ただ、明らかに江戸戯作の影響下に成立した上方戯作(例えば黄表紙もどきの半紙本)をどのように位置づけるかなどといった問題も少なからず派生し、現時点では、より多くの課題を得たという印象である。 また文体に関しては、書き言葉の文芸に対して常に芸能(話し言葉の文芸)の影響が及び、これは予想以上のものであった。文体によるジャンルの分類は不可能ではないにせよ、これのみに負えば、また新たな問題が生じることは確実である。ただし、文体を、ジャンルにどのように加味させて行くかという問題は、書形がジャンルにどのように関連するかを検討することと同等に重要なことであり、今後この方面へのより多くの考察がなされる必要がある。 上方戯作が江戸戯作とは別の価値観をもって展開したことは、江戸戯作の側から「戯作の開祖」と崇められる風来山人の戯作への双方の評価の歴史ひとつとっても顕著な差異が認められた。上方戯作を定義するに当たり、その総覧と分類は当然不可欠であるが、それによって江戸戯作の再考が可能となるべき総覧が構想される必要がある。
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