研究課題/領域番号 |
09610477
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
英語・英米文学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
依田 義丸 京都大学, 総合人間学部, 教授 (30135462)
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研究期間 (年度) |
1997 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
2000年度: 400千円 (直接経費: 400千円)
1999年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1998年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1997年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
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キーワード | 20世紀 / シェイクスピア劇 / 演出法 / 『タイタス・アンドロニカス』 / ピーター・ブルック |
研究概要 |
20世紀における英米と日本のシェイクスピア劇の演出法を比較するために、その象徴的な例として『タイタス・アンドロニカス』の演出法に焦点を当てた。具体的には、まずこの劇作品における劇作家のねらいを特にその特徴的な一連の残酷な場面について明らかにし、それが演出家たちの演出において正確に反映されているかを吟味した。その結果明らかにできたことは、英米においては、演出の二つのタイプ、すなわち、演出家が劇作家の作品に自らのコンセプトを大なり小なり押しつけるタイプと演出家が劇作家のねらいに忠実になろうとするタイプが存在するということである。なるほど、英米でも日本でもリアリズム的な演出ではその演出手法の採用自体が演出家のシェイクスピア世界についての無理解を示しているが、反リアリズム的な演出を検討すると、英米においては、基本的な次元で劇作品についての正確な把握が存在していることがわかる。確かに、ブルックやフリードマンを代表とする反リアリズム的な手法を採用している英米の演出家たちも、劇作品に余分な要素をつけ加えることによって間違っているが、提示されている舞台的な効果は正しく劇作家のねらった効果と同じものになっている。これに対して、日本の反リアリズム的手法の演出は、ときに劇作家の意図した舞台的な効果と同じものを現出させていても、それは偶然的な結果であることが多い。いずれにせよ、シェイクスピアの劇について英米と日本の間に認められる理解の差こそ、ワーナーのような、劇作家のねらいに忠実になろうとする演出家の出現の有無を決定づけているものなのである。そして、ワーナーのような演出が指し示す方向が今後辿られるべき道を暗示していることを考えると、日本のシェイクスピア劇演出の未来は暗いと結論づけざるをえない。
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