研究課題/領域番号 |
09610498
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
英語・英米文学
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
ウエルズ 恵子 立命館大学, 文学部, 助教授 (30206627)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
1999年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
1998年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
1997年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 民謡 / フォークソング / 労働者文化 / 歌 / 口承詩 / アメリカ大衆文化 / folk songs / occupational songs / textile songs / sea shanties / forecastle songs / lumberjack songs / アメリカ合衆国 / アメリカ文化 / occupational / folksong / miner songs / Gold Rush songs / Textile songs / 子守唄 / 労働歌 / folksongs / Nursery Songs |
研究概要 |
この研究の主要成果は、「アメリカ民謡と働く人々」全30編の論文にまとめた。このシリーズは、英語がある程度読める日本人の読者を対象にしたもので、アメリカの人々や文化についてより身近な知識を持ってもらうためのものである。日本の歌や習慣についても言及し、比較文化的な論述を心がけた。 3年の研究期間で、わたしは働く人々の時代を取り巻く状況や大衆的な感情、生活の現実がどう歌に反映されているかを追求した。注目したのは、アメリカが現在の国力を形成させた19世紀を映す歌である。以下に述べる7つのカテゴリーについて、歴史と文化の背景を述べ、時代の変動と人々の様子を伝えられるような歌を選んで分析と説明を加えた。また、歌の系譜についても言及した。 それぞれのカテゴリーについての論点は次の通り。1)カウボーイソング:現在知られているロマンチックヒーローとしてのカウボーイのイメージは、長距離の牛追いが消滅してからできた伝説的なものであることと、労働者としてのカウボーイの姿を描く。2)鉄道歌:時代の変化に鉄道が果たした大きな役割と、鉄道にかかわる仕事をした人々が払った犠牲。3)炭鉱歌:隔絶された炭鉱村の実状とそこで歌が盛んだったこと、危険な仕事に対する人々の気持ち、労働運動。4)ゴールドラッシュ:アメリカ特有の夢と幻滅を浮き彫りにした後、その普遍的な性格を指摘する。5)紡績歌:地域による娯楽に対する考え方の違い、産業革命初期から後期にわたる労働者の変化。6)船員の歌:仕事歌としての民謡と、そこに表れる女性のモチーフについて。7)木こり歌:アメリカ民謡のうち木こり歌は古い部類になるので、その性質の分析、および移動労働者と歌の拡散について。全体の結論では、人々が進んで自分の経験と生活の現実を歌の中で美化したり滑稽化して架空の作りものとすることや、その架空化の過程に大衆的な希望や欲望が読みとれること。生活に望んで得られない要素(例えば安定した家庭など)を好んで歌いこむこと、などを指摘した。 上記のような成果発表をした他に、日本の子守歌について全国的に調べて英語論文を執筆した。 この3年の研究を反省すると、アメリカ民謡についてはひとつのまとまりを得、類似の研究が日本にないので、価値ある成果が上げられたと思う。日本の民謡については、時間が十分になくて最後までできなかったのが残念だ。しかし方向は定まったし、資料もかなり収集できたので、継続すればよい成果に結びつくはずである。
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