研究分担者 |
石川 克知 北海道大学, 言語文化部, 助教授 (30142665)
佐藤 拓夫 北海道大学, 言語文化部, 教授 (20091457)
吉田 徹也 北海道大学, 言語文化部, 教授 (80003531)
西村 龍一 北海道大学, 言語文化部, 助教授 (10241390)
鈴木 純一 北海道大学, 言語文化部, 助教授 (30216395)
高橋 吉文 北海道大学, 言語文化部, 教授 (20091473)
|
研究概要 |
本研究の目的は、古典的修辞学の隠喩論の視点を再検討しつつ、メタファーという現象を現代の新しい理論から捉え直すことによって、その現代的な意味を考察すること、ならびに20世紀のドイツ文学を中心に具体的な事例研究をすることにあった。メタファーにおける意味の「ずれ」というものを基本的な観点としながら、アリストテレスからリクールに至る古典的理論および現代ドイツ文学・美学における隠喩現象の再整理を進める一方,これらが認知理論,コンピュータにおける情報処理技術,オートポイエーシス等のシステム論などの現代諸理論の文脈においていかなる意味と可能性を持つのかについての研究を進めた。その結果、各分担者の研究領域において様々な観点から多くの成果が得られるに至った。まず,古典的な隠喩論の文脈からいえば,中性から現代に至る新たな隠喩史としての光/自然のトポス論,リクールの隠喩論における意味の生成機能と字義という概念装置の有効性批判,ムジルやプルーストに見られる比喩表現の新たな境界設定の可能性,ベンヤミンのアレゴリー論のメタファー機能からの読み直し等、また20世紀美学の隠喩現象については,ダダイズムの隠喩的意味生成論、美術における隠喩,寓意,アレゴリーという技法の新たな関係性の解析等、最後に現代諸理論との直接的な関係性の研究成果として,ルーマンの社会システム論における意味概念とメタファー機能の同一性の分析,認知過程における隠喩的転義機能の重要性、コンピュータにおけるメタファー的記号処理過程の分析、デリダの新しい記号論における隠喩の両義佳の解読,ハーバマスのコミュニケーション理論における合意形成とメタファーの役割等を挙げることができる。なおこれらの研究は研究成果報告論集『メタファー-現代の諸理論からの考察』としてまとめられているので,詳細はそちらを参照されたい。
|