研究課題/領域番号 |
09610547
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
文学一般(含文学論・比較文学)・西洋古典
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
藤原 五雄 東北大学, 言語文化部, 教授 (40036348)
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研究分担者 |
藤田 恭子 東北大学, 言語文化部, 助教授 (80241561)
志柿 光浩 東北大学, 言語文化部, 助教授 (60215960)
石幡 直樹 東北大学, 言語文化部, 助教授 (30125497)
山下 博司 東北大学, 言語文化部, 助教授 (20230427)
島途 健一 東北大学, 言語文化部, 助教授 (70128429)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
1998年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
1997年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
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キーワード | 多文化 / マイノリティ / 現代文学 / アメリカ / インド / 在日コリアン / ドイツ / ルーマニア / 多言語 / 現代文化 / 在日韓国・朝鮮人 / ル-マニア |
研究概要 |
マイノリティのアイデンティティ問題を主たるテーマとした個別研究の成果は次のように要約できる。 1. 在米プエリトリコ作家E・サンティアゴは、プエルトリコの偏狭なナショナリズムや「非多文化性」を批判し、多言語性・多文化性に新たなアイデンティティの可能性を求めている。 2. 日系アメリカ人作家M・ヤマダは、第二次世界大戦中の日系アメリカ人の強制収容という被抑圧体験から、日系マイノリティのアイデンティティを文化多元主義という普遍的視点から問う。 3. 独立運動を汎民族的に鼓舞したインドの現代文学は、今、大衆娯楽メディアとも結びつきながら個別の民族主義や分離独立の政治プロパガンダの一翼を担い、地域のエスノナショナリズムと不可分の関係にある。 4. 李恢成は、在日コリアンのアイデンティティを求めてついには民族の理念に達する。この理念は日本社会の差別と抑圧が呼び寄せたもので、ここで問われているのは日本人の「内なる国際化」である。 5. ドイツの戦後復興に寄与した外国人労働者・移民は差別と外国人排斥に直面し、深刻なアイデンティティ問題をテーマにした数多くの「移民文学」作品を生む。その詳細な分析が行われた。 6. ルーマニアのドイツ系マイノリティのドイツ語文学を詳細に紹介するとともに、その文学がその多様性により「ドイツ文学」の観念を相対化するというアクチュアルな意味を持つことが解明された。 抑圧され不自由な存在であるマイノリティには必然的にアイデンティティの問題が起こる。この問題の解決は、差別や偏見から開放された人間・社会関係の確立を可能にする共生の思想に求められる。マイナーな文学はアイデンティティを問う人間解放のための文学である。ここにマイナーな文学を問う今日的な意味もある。
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