研究課題/領域番号 |
09620001
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
基礎法学
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
長谷川 晃 北海道大学, 法学部, 教授 (90164813)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
1998年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1997年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
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キーワード | 平等 / アファーマティヴ・アクション / 逆差別 / 自由 / 公正 / アファマティヴ・アクション |
研究概要 |
アファーマティヴ・アクションは目標別雇用、人種割当、優先措置、自己点検、積極的宣伝、無差別措置などに分けられ、またその対象は女性、人種・エスニシティ、退役軍人、そして身体障害者である。その現況としては、その基本的な推進はなされているものの、最近では特にアメリカで人種割当への批判が高まり、廃止の動きもある。ただし、すべての優先考慮が廃止されたわけではなく、所得階層に基づく考慮が新たに設けられ、それによれば事実上多くのマイノリティが優先考慮を受ける資格は維持されている。アファーマティヴ・アクションにおける人種割当制の廃止、無資格者・無能力者の優遇の禁止、逆差別の回避、当初目的達成後の優先措置廃止などは、その改善の方向への動きである。このような動きは、アメリカだけでなく、カナダ、オーストラリア、あるいは東南アジアの諸国などでも広がりつつある。日本の場合にもこの種の措置の必要性は十分考えられる。現行の男女雇用機会均等法や障害者雇用促進法などはその一形態であるし、またアイヌに対する種々の政策も同様の意義を有する。しかしこれらはまだ不十分で実効性もあまり高くはなく、今後どのように拡充してゆけるかが大きな課題となっている。アファーマティヴ・アクションを正当化する根拠は、大別して3つのものが説かれる。第1は過去の歴史的不正に対する補償的正義からの要求として、第2は、そのような措置を講ずることで得られるはずの社会的利益に関する効率性からの要求として、そして第3に、所得・教育・疾病などの点で劣化した状態にあるマイノリティの現況を是正する分配の正義からの要求としてである。しかしいずれにも一長一短があり、そこでは再検討が必要であって、結局は平等と自由、そして効率性の調和が求められており、それらが結合するときこそこの差別是正策も有意義となる。
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