研究課題/領域番号 |
09620005
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
基礎法学
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
森際 康友 名古屋大学, 大学院・法学研究科, 教授 (40107488)
|
研究期間 (年度) |
1997 – 1999
|
研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
|
配分額 *注記 |
2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
1999年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
1998年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
1997年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
|
キーワード | ネットワーク / e-commerce / 分業 / 取引費用 / 所有 / 契約 / 企業 / 市場 / 信頼 / 公共財 / 私的自治 / 神の見えざる手 / 公共性 / 公共圏 / アダム・スミス / 所有と経営の分離 / 企業経営 / 継続的取引 / 合理化 |
研究概要 |
本年度は、企業の内外における交換を類型化し、そこでの契約の機能についてのモデルを提起することによって分業システムの全体像を描くことを目標とした。そのモデルの基礎には、不完備契約を補う組織編成として企業という組織を捉える視点があった。この観点から経済社会の現実を変えると言われているe-commerceにおける契約と組織の問題にアプローチした。情報の流通方法が効率化されると、分業の効率も向上するのかどうか。情報流通の効率化は現実を完全市場に近づけるので、物流が伴う限り、アダム・スミスのいう「入手しやすさ(comeattibleness)」が向上する。それはとりもなおさず分業の効率化を意味するので、答えは然り、である。モノ・カネ・ヒトそして情報の流通を最も効率化する秩序形態が、情報化社会における分業制度に適合的である。その現実的な形は、インターネットに象徴される、B2B、B2Cなどのe-commerceが広範に行われるネットワークである。ここでは通常のフェース・ツー・フェースのコミュニケーションが必要とされる交換に比べて、取引費用の劇的な縮減によって合理的な交換の機会が指数的に増大する。いわゆるニュー・エコノミー論は、この交換機会の指数的増大を通して、共同体の生産力が飛躍的に高まる、とする。その理由の一つは、消費者と生産者との役割分業が廃棄され、消費者が商品企画に参加することが可能になり、資源配分が理想化に向かうことである。これには昨年度提起した効率性テーゼだけでなく、疎外テーゼにも応える側面がある。このような多重性を持つ現実に適合した所有と交換のルールはどのような性格のものか。99年6月、ニューヨークで開かれた法哲学社会哲学国際学会連合世界会議で「法と分業"Law and the Division of Labor"」という題目で報告した。
|