行政法規の執行過程分析にあたっては、ともすれば行政組織だけに注目が集まるが、直罰規定や行政命令違反罪を通じて、警察を第一線とする司法警察組織も関与している。警察の存在は、行政の規制法規執行においても、看過すべからざる影響を与えている。 行政法規の執行を扱う警察組織は、県警本部レベルでいえば、生活保安課の生活経済担当である。指定県以外の県警本部では、担当者の数は、6人程度であるが、所管する法律や条例の数は、500を軽く超える。しかしながら、日常活動において意識される法律・条例は、きわめて限定されている。最近、警察が重視しているのが、産業廃棄物事犯である。 産業廃棄物については、不法投棄が大きな社会問題になっていることもあって、行政も、それなりの対応をしている。しかし、違反者が暴力団関係者であることもあって、毅然とした対応ができにくいのが実状である。対応が遅れることによって、生活環境への被害は拡大してゆく。行政には、警察の世話にはなりたくないという意識はあるものの、そうしたスタンスでは、法律目的の達成ができなくなっている。 そこで、最近では、警察から現職警察官が行政に出向・派遣されている。その効果を評価するのは、時期尚早であるが、限定された調査の範囲では、違反事案を警察と行政の「複眼的」にみることができて、以前よりもより早期の対応が可能になっている。
|