研究課題/領域番号 |
09620015
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
公法学
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
笹田 栄司 金沢大学, 法学部, 教授 (20205876)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1998年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1997年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
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キーワード | 司法 / 訴訟上の和解 / 手続保障 / 憲法三二条 / 和解 / 司法権 |
研究概要 |
司法がここ十数年にわたり積極的に展開してきたのが訴訟上の和解である。それは訴訟係属中に当事者双方が裁判官の面前でその主張を譲歩して訴訟を終了させることをさすが、そこには光と影がある.「光」は司法コストの削減、判決では得られない、法的解決を超えた救済の速やかな実現である。その反面、エイズ訴訟・水俣病訴訟のような、公権力が関わる大規模訴訟においては、「法による裁判」との緊張関係が生じ、さらに、司法権の役割の限界の問題(判決で下せない内容が和解によって得られることは正当化されるか)、そして裁判官の裁量が増大することから当事者の手続保障の問題等が指摘される。「公正な裁定者」としての司法という観点からこのような問題を検討するならば、「救済の緊急性」、「裁判所が法理論的に精緻な所見をだすこと」、そして「手続保障の存在」という三要件の存在が、上記ケースでの訴訟上の和解を正当化するものと解される。 今回の民事訴訟法改正により弁論準備手続が創設された。それはこれまでの弁論兼和解手続に対する疑問を払拭し、その手続の透明化を狙ったものである。ところで、わが国において判決手続を担当する裁判官と和解を主宰するする裁判官が区別されない以上、和解の成立及び当事者の満足等を含む和解の質は判決の予測に関わる情報に依存するところとなる。当事者の立場からすると、「裁判官による公正な情報収集と適正な情報開示」をどのように担保するかが重要な点になるが、それを当事者の手続保障という形で構成することは、憲法三二条の解釈論の現状からして困難であろう.今回の弁論準備手続での手続保障は裁判官による手続裁量をコントロールするものとしては十分ではなく、さらに弁論兼和解の復活も予想されていることを考えると、訴訟当事者による裁判官の裁量のコントロールの根拠を憲法三二条にもとづき根元的に検討する必要があると思われる。
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