研究課題/領域番号 |
09620017
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
公法学
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
阪本 昌成 広島大学, 法学部, 教授 (00033746)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
1998年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1997年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | 法の支配 / 近代立憲主義 / 市民社会 / 権力分立 / 立憲主義 / リベラリズム |
研究概要 |
本研究は、「法の支配」が、(1)近代立憲主義の中核を占める思想体系であったこと、(2)権力分立理論と不可分であったこと、(3)消極的「自由」擁護の要であったこと、ところが、他方、(1)「民主化」の声に影響されて、「法治主義」へと変質されてきたこと、(2)「自由」を消極的に捉えることは、形式的自由だけを消極的にしか保障できず、国家が積極的に実質的「自由」を創造すべきであること、(3)その実現のためには「法の支配」は侵食されてしかるべきであること、と言われ始めた歴史を振り返ったうえで、上記(1)〜(3)の復権をめざすことを目的としている。この目的は、本研究の副題である「法の支配と自由」に象徴的に表されている。 この副題のうちの「自由」概念の変遷を分析するには、リベラリズムとデモクラシーのと関係が明らかにされなければならず、その成果は単著『リベラリズム/デモクラシー』(有信堂、平成10年9月)として公表されている。これは、「法の支配」の理念がリベラリズムに基礎をおいていること、ところが、デモクラシーのもとで危機に晒されるであろうことを論じている。 また、「法の支配」の全般的な理解の仕方は、単著『憲法1 国制クラッシク』(有信堂、2000年4月)において明らかにした。この著作は、学生向けの憲法体系書として書かれたものであるが、憲法解釈の多くの場面について、「法の支配」を基軸とする方向を打ち出している。これは、わが国で初めて「法の支配」を理論体系の基盤としておいた体系書となっており、快心作として密かに私の自負する著作である。 もっとも、この『憲法1』は、「法の支配」だけにターゲットを絞りきった作品ではない。そこで、上記の(1)の論点について、『近代立憲主義国家の役割(仮題)』になる著作で立憲主義の展開を本格的に論じ、これは成文堂から平成12年初秋に発行の運びとなる。その著作は、(ア)近代立憲主義が「法の支配」を最も真剣に受け止めてきたこと、換言すれば、立憲主義とは「法の支配」の別名であること、(イ)立憲主義のモデルはフランス人権宣言やその後の憲法にあるのではなく、英米の、なかでも、スコットランドの啓蒙の思想にあることを論じている。
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