1973年に制定された大規模小売店舗法が、1990年代に緩和された(2000年にはついに廃止された)こと等により、全国各地における大型小売店の出店は旺盛をきわめた。その影響により、中心商店街などのこれまで地域を支え続けてきた地域商業の落ち込みは、きわめて深刻な状況にあった。 こうした背景の下に、「商業集積を核とする街づくり」、すなわち各地の商業活性化を促進するために、1991年に「特定商業集積の整備の促進に関する法律」が制定された。本法は3つの支援スキームを持っていた。 第1の「高度商業集積型」は、全国13ヶ所において導入され、主として大型小売資本による巨大ショッピングセンター建設促進として機能した。第2の「地域商業活性化型」は全国38ヶ所で導入されたが、総じて行政主導のハード整備に力点が置かれ、地域商業者の活力を十分に引き出すものとはなり得ていない。第3の「中心市街地活性化型」は、中心商店街で大型店を核にした整備を目指すものであるが、導入は1ヶ所にとどまる。全体として本法は、巨大ショッピングセンター建設促進としての役割が中心になったと評価できる。 また1998年に、街づくり三法の1つとして、本法の中心市街地活性化型を拡大し全面化する形で制定された中心市街地活性化法は、やはり都市再開発等のハード重視の政策法であり、これによる施策はまだ実施途上にある。むしろソフトを重視した地域商業活性化の取組みが、成果を上げ注目を集めてきたのであり、例えば、「エプロンカード」や「ファクスネット」などを基軸に、徹底して地域の近隣住民との密接な結びつきにこだわる京都西新道錦会商店街や、商店街株式会社として多彩に事業展開を図る東京足立区東和銀座商店街、ガラスをテーマにした黒壁スクエアで知られる滋賀長浜の例などがそれである。
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