研究課題/領域番号 |
09620079
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
政治学
|
研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
山本 武彦 早稲田大学, 政治経済学部, 教授 (10210535)
|
研究期間 (年度) |
1997 – 1998
|
研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
|
配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1998年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1997年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
|
キーワード | 中間的経済制裁 / 経済国策 / 安全保障のジレンマ / 対共産圏輸出統制 / 不拡散型輸出規制 / 地経学(geo-economics) / 地技学(geo-technology) / 安全保障レジーム / 制裁 / 戦略 / 不拡散 / 経済ナショナリズム / 国際安全保障 / 輸出規制 / 地経学 / 経済制裁 / 国際機構 / 国際連合 / 地域的国際機構 / 対共産圏輸出統制委員会 |
研究概要 |
二年間にわたる「経済制裁の戦略的含意に関する」研究では、とくに第二次世界大戦後に実施された経済制裁という名のパワーの行使が国家間の戦略的な相互行為にどのような影響を及ぼしてきたかという問題意識に立脚して、経済制裁に内在する経済国策(economic statecraft)の本質の理解に努めるとともに、多国参加型制裁と単独型制裁の費用対効果分析を行った。また積極的制裁と消極的制裁との使い分けのもたらす国際政治的含意についても、様々な制裁事例の個別分析から「安全保障のジレンマ」ないし「囚人のジレンマ」という否定的結果をもたらすことが多いことを立証した。同時に、冷戦時代における日本の経済制裁の一例として、アメリカを盟主とする西側陣営の引いた対共産圏輸出統制網に組み込まれていった過程を公開済みの外交文書の分析を通して考察し、日本の経済国策の一環としての貿易統制政策の原型を浮き彫りにすることに成功した。その原型とは、西側陣営の一員としての協調枠組みの中に位置しながら、対共産圏貿易統制という世界的規模の経済戦争に際して構造化したアメリカと西欧との利害対立の間にたって果たした調整者としての役割、ないし中間者的な役割、として要約される。この調停者ないし中間者的役割は冷戦終結後の不拡散型輸出統制政策やその他の経済制裁政策にも継承されていることが明らかとなった。さらに考察の射程を広げる必要性を認識するに至り、その他の経済制裁に関連する戦略的相互行為の事例として、近年の米中摩擦、情報化時代の技術安全保障論、「民主化」と安全保障との関連性の分析など、経済制裁の戦略的含意を多面にわたって考察し、国家のみならず個人を含む非国家的行為主体が制裁現象の渦のなかでいかに重要な位置を占めているかが明らかにされた。
|